脳と身体がハッキングされる?

世の中に浸透するロボットやAI(人工知能)の話題が引きも切らない今日この頃。

スイスの国営郵便企業が国内の3都市で、食料品や医薬品を届けるロボットの試験運用をはじめたり、某有名IT企業に勤める私の友人が独自開発の人工知能を応用した学内ベンチャーに転職したり。

けれども、極度の近視と万年肩こりに苦しみ続ける私としては、人体パーツの交換や強化、つまり、サイボーグ化にいちばん関心があります。

2014年のサッカーのワールドカップ・ブラジル大会が実は、下半身麻痺の少年が脳波で動く特殊な外骨格でオープニングのキックオフを飾った記念すべき世界大会だったことは意外に知られていません。

これには、装着者が頭で思い浮かべた運動計画(脳波)を読み取り、マシンが理解可能なデジタル信号に変換、実行させ、装着者に仮想の知覚(脳波)をフィードバックとして送り返す夢のような新技術が必要でした。

つまり、私たちの手や声の入力を必須とする今の常識的なマシンではなく、自分の脳波の動きでコントロールする未知のマシンです。

これを成し遂げたブラジル出身のミゲル・ニコレリス博士は今、動物の脳と脳で意図や指示を伝えあう技術開発に専心しています。

(日本語字幕は、動画右下の吹き出しマークをクリックしてください)

人類のサイボーグ化の実現の流れは、むかしから夢想されていたとはいえ、メインフレームと半世紀前に呼ばれていた大企業や官公庁向けの超大型コンピュータから、今のスマートフォンやウェアラブルにいたるダウンサイジング(小型化・廉価化)の流れに属します。

プラスチックや金属製の義手義足に脳とコミュニケーションさせるのですから、どうしても、コンピュータやセンサーの小型化が肝になるのですね。

その意味でいえば、近年話題のIoTも同じ流れの風潮といえます。

Internet of Things (ありとあらゆるモノのインターネット化)とは、要するにあらゆるモノの「スマート化」、センサーと通信機能をとり付け、情報を送り、蓄積させ、コンピュータ上の人工知能がデータを分析してユーザーに有益な情報を与える、そういうものです。

英語圏でいま人気の Amazon Echo は、ワイヤレススピーカーに音声アシスタント機能を備えた新しいタイプのデバイスで、昨今の「スマート化」の象徴のような存在といえるでしょう。

私たちの身体も含め、あらゆるモノがインターネットに繋がることは同時に、あらゆるモノが悪質なハッキングのリスクに晒されることを意味します。

ヒューレット・パッカードの研究では、ネット接続が売りのスマート家電(テレビ、ウェブカム、ホームサーモスタット、ドアロック、家の警報機など)の大多数にきわめて初歩的なセキュリティ上の脆弱性が見つかっています。

これは、ロボットやドローンの配達、インフラ制御などにも原理的にはいえることですし、なにより、話を巻き戻せば、私たちの人体パーツや脳へのハッキングも現実的な脅威となるでしょう。

今、私がハマっている、正確にはハマりたいけどプレイ時間が作れずにいるビデオゲーム Deus Ex Mankind Divided は、人類の機械による人体増強がカジュアルなものになり、そして、大規模なハッキングによって機械化した人類が暴走事件を起こした2029年が舞台です。

15年後、私たちの半数近くがサイボーグとなり、そのハッキングの脅威から、天然の体を守り続けている人類から酷い差別を受けていないと、だれが言い切れるでしょうか?

今回ご紹介するのは、ノルウェーの音楽家 Bror Forsgren。

彼は、ノルウェーを代表する実験的なジャズバンド、ジャガ・ジャジストのメンバーとして知られ、今年は日本のロックフェス、サマーソニックにもバンドで来日しています。

その際、人生初の「セレブとの自撮り」として、元Jリーガーの前園真聖との2ショットをインスタグラムにあげていたのはご愛嬌。

京都スタッフ 緒方勇人
http://engineerism.com