テクノロジーの本質とは?

世の中の大人には、テクノロジーが好きな人と嫌いな人の2種類がいます。

新しい道具の使い方を覚えるのに苦を感じない若者は例外ですが、彼らも歳を重ねるに従い結局はどちらかに分かれていきます。

経験上、テクノロジー物が本当に好きなひとはもともとメカ好きな上に、好奇心旺盛で、新しい物好きです。

つまり、彼らには新しい仕組みや道具を理解すること自体に強いモチベーションがあるのですが、そうでないひとには、「スマホじゃなくて良いや……」「パソコンもなくて良いや……」と、自分の慣れ親しんだやり方や道具をあえて手放す理由がありません。

テクノロジー嫌いとは、新しい仕組みや道具を覚える学習意欲がもてずにいるせいなのです。

私の在籍していた大学院には、パソコンなんてメールのために使わされているだけで、シリコンバレー(アメリカ西海岸にある情報革命とスタートアップの聖地)の秘密結社が今の世界を裏で動かしているんだ、と陰謀論を私にぶつける大学教授もいました。

ちなみにその先生、著書や翻訳書を何十冊も出し、日本のフランス思想界隈ではかなり有名なひとなんですけどね。

思うに、彼の「使わされている」という表現は的を射たもので、新しいものに慣れるよう周りに強いられたり急かされたりする感覚が強くあるのでしょう。

その意味でいえば、何事にも「イノベーション」が要求される今の社会状況やビジネスシーンはなかなか過酷といえます。

数年前に未来の働き方を予想した『ワークシフト』のビジネス理論家リンダ・グラットンは、これからの時代、何でも屋のゼネラリストではなく、専門知識や技能を次々と習得する「連続スペシャリスト」でないと社会の上下流を分断する2極化の波を生き残れないという身も蓋もない主張をしています。

その背景のひとつは、もちろん、テクノロジーの急速な発展です。

そもそもテクノロジーとは、自然界のエネルギーをより効率的に応用する学であることに本質があります。

石器や木の棒のような原始的な道具も力学的エネルギーを効率的に利用したものですし、人類の生活を変えた火もまた、物質の燃焼という化学エネルギーです。他にも、熱、電気、光、原子核、などなど。

そして、テクノロジーがより効率的なエネルギーの利用法である以上、原理的に、速いものはより速く、大きいものはより大きく、簡便なものはより簡便にという明確なイノベーションの軸をもちます。

わかりやすくいえば、テクノロジーに競争は避けられず、新しいものに1度慣れたらもうあとには戻れないということ。

というのも、テクノロジーの発展が実現してきたこととは、人類のさまざまな仕事をより速く、より小さな労力で達成することであり、
その進歩の結果としてかつてなかった仕事をより多くのひとに達成可能にしてきたからです。

したがって、テクノロジーの本質とは同時に「時間の省略であり経験の圧縮」といえます。

火を使うこと、飲み水を確保すること、遠くの場所へ移動することなど、テクノロジーの関わることは何ひとつとってもその仕組みや道具なしでは膨大な労力がかかることであり、場合によっては一部の人間にしか達成不可能であるのに加え、もっとも原始的な技術ナシの状態から今に至るには曲がりくねった試行錯誤の道のりが隠されています。

新しいテクノロジーの道具や仕組みを覚えることとは、要するに、学習期間の労力を費やして、新しい時間の節約術を先人の試行錯誤の経験から身に付けることなのです。

もちろん、この最初の時間的・労力的コストの支払いが何事でも大変なんですけどね。

今回ご紹介するのは、今日のダンスミュージックブームの火付け役となったデヴィッド・ゲッタです。

ライブ中でも身体を使った演奏らしい演奏はしないなど批判も多いひとですが、それもこれも、今の音楽機材の節約術のなせることでしょう。

個人的には、ニッキー・ミナージュや、あれよあれよという間にスターダムに駆け上がったオーストラリア出身の女性シンガー、シーアとのコラボレーションが好きですね。

京都スタッフ 緒方勇人
http://engineerism.com