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第十一回 映画「ブレックファスト・クラブ」

予告編 https://www.youtube.com/watch?v=vcIXvQqQVrQ

1985年公開の青春映画。
舞台は土曜日の図書室。
うるさい教師に監禁され、「私は誰なのか?」というテーマの作文を補習で書かされる5人の落第高校生。
からかいあったり、喧嘩になったりしながら、やがて悩みを告白しあって、友情を深めていく。
つっぱったり、友達の目を気にしたり、かっこつけて無理にタバコをすったり、やり場のない怒りをぶつけて物を壊したり。
型にはめようとする親や教師に反発し、でも自分が何者かわからず、がんじがらめで抜け出すことができない。
絶えて思い出すこともなかった10代の頃の葛藤をほろ苦さとともに思い出した。

昼食の時間。
「ガリ勉」「スポーツ馬鹿」「不思議ちゃん」「お姫様」「チンピラ」と語られる典型的な5人のキャラクターにぴったりのアメリカン弁当が登場する。
まず5人分のコカコーラ5本。
「お姫様」こといいとこのお嬢様(80年代の青春スター、モリー・リングウォルド)がもってきたのは重箱と寿司下駄(アメリカのスノッブな金持ちは寿司を食べるんだろう)。
「スポーツ馬鹿」ことレスリング部の特待生が袋から取り出すのは、サンドイッチ3つに1リットルの牛乳、チョコスナック1袋、バナナ、リンゴ。
「ガリ勉」こと秀才の弁当は、ランチジャーに入ったスープ、アップルジュース、パンの耳をとったピーナッツバターサンド。
「チンピラ」は弁当を持ってきていない。両親に愛されない彼は持たせてもらえないのだ。

「不思議ちゃん」のお弁当はハムサンド。
と思ったら、中身のハムを投げ捨て(哀れなハムはブロンズ像にぶつかって落下)、バターつきパンになったところにスティックシュガー2本をかけ、さらにシリアルをじゃらじゃらとのっけてはさんで、むしゃむしゃと食べはじめる。

作ってみた。

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食パンにバターを塗ってスティックシュガー、シリアル山盛り。

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ココアフレーバーのシリアルだったので、チョコスプレッドを塗ったみたいになった。
そもそも牛乳をかけて食べるものなので、バターやミルキーな食パンとの相性は悪くないが、食パンを作ったパン屋さんに悪いなとなんとなく思った。

親にもらった栄養価の高いハムは投げ捨て、単調な甘さのシリアルという子供っぽさへ退行する。
「不思議ちゃん」の反抗と迷走をうまく表現したサンドイッチだなと思う。
弁当で5人のキャラを立たせる、監督・脚本のジョン・ヒューストンに感心した。
モリー・リングウォルドはじめ、ロブ・ロウやデミ・ムーアら「ブラット・パック」と呼ばれる若手スターたちを輩出した「セント・エルモス・ファイァー」など80年代青春映画の仕掛人。
この映画にも「私はあんな親になんか絶対ならない」「大人は魂を捨てている」という耳に痛い台詞が出てくるけど、ジョン・ヒューストンという人は、大人になったら忘れてしまう10代だけが持ちうる魂をずっと持ち続けた人なんだろう。

 


著者プロフィール
月刊連載『月刊 池田浩明 やっぱりパンでした』 毎月3日公開

icon_ikeda池田浩明(いけだひろあき)

パンラボ主宰、ブレッドギーク(パンおたく)。
パンを食べまくり、パンを書きまくる人。
パンラボblog(panlabo.jugem.jp/)、twitter( @ikedahiloaki )、朝日新聞デジタル「このパンがすごい!」でパン情報発信。
もっとおいしく安全な小麦を日本に広げるプロジェクト「新麦コレクション」代表。