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“焼き場前はパラダイス”

忙しい時こそ涼しい顔をしていたい。それでも振り切れるほどに忙しい時、気分転換に行くべき場所は優雅なフレンチでもなく快活なイタリアンでも、凛とする割烹でもない。爆発的な楽しさを叶えてくれるモツ焼きと和牛の“鳥茂”焼き場正面にピットインだ。

噂通り、三代目真っ正面のカウンターは凄かった。炭火焼きの技あり美味と、のけぞりそうな活気と勢い。叫んでも打ち消されそうな威勢の良さは、美味しいことは当然ながら、それ以外の何かがもりもりに溢れていた。

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よーし、焼モノ食べるぞ!と意気込んだ所にいきなりの生肉。なるほど、コースで言うアミューズである。個人的にこの手の経験値は低いのだが後口のさっぱり感は魚の赤身を上回る。自分では注文しないであろうものがこうも美味しいと「断れない」と言う状況は自分の新しい扉を開けるものだな、と思う。

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驚きがこの噛まない白。もっと味わっていたい、口内留まりプリーズと懇願しても飲みこむように消えていくのは、内蔵も欲しがるからだろう。その上この秘伝のタレの後押したるや。

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苦手な方も多いレバーこそ、そんな方に食べていただきたい。塩気のザラザラが舌で溶け、口内の筋力だけで弾けてとろける様は清く美しくもある。子供の頃に食べた苦手なレバーを10の重みとするならば、これは2という軽やかさ。最後の一串の刺されるがままの歪み具合は反則級の愛らしさ。

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お馴染みピーマンの肉詰め。シナシナせず、食感が残るピーマンは肉汁の受け皿。

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温めた皿の温もりで、脂が溶け始めたら食べ頃という舌。

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これは大事件。一口キャビア握りは三代目の遊び心。

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ココに来て、まさかのすき焼きトリュフがけ。

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トドメはシャトーブリアン一口丼。たまらないでしょ、うふふ。

ありったけの全部盛り感が素晴らしいのだよね。目の前の焼き場はまさしく劇場で、口元は笑いながらもスタッフの耳打ちに眼力でビビらせる三代目の真剣みはなんてカッコいいのだろう。タイマーも自動温度調節もない炭火の焼き場で4~50名のゲストを相手にガンガンに焼き続ける疾走感と緊張。そんな熱い想いには言葉より串を頬張る事で応えたい。「そろそろお腹いっぱいです」は笑顔でスルーされ、ラストスパートも容赦ない。

全力で駆け抜け、攻められまくる美味。リフレッシュ度200%。師走の今、ココですよ。

新宿“鳥茂”


著者プロフィール

月刊連載『153.1 × manger』毎月18日公開
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東京生まれ、東京育ち。
いろんなコトしてきました的東京在住人。
主に食、ほか、アート、映画、ファッション、五感に響いたものを写真と言葉で綴ります。