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第十回 あのカウンターがたまらない

カウンターのある店が好きなんです。
カウンターの奥の小さなスペースで店主が
コーヒーを淹れたり、お酒をつくったり、料理をしたり。
小さな劇場にいるような感じが好きなんです。
しかも、狭い場所なのにいろいろメニューがある店が好き。
手際よく調理の順番を決めて、いろんな食材を手早くさばいていく、
なんだか手品を見ているような気分になります。
客との距離がちかいわけですが、だからといって
いろいろ喋りかけてくる店は苦手。
村上春樹の「風の歌を聴け」に出てくるような
基本は無口な店主が時々喋る、そんなカウンターが好き。
そして、もう一つ重要なことはカウンターで本が読めること。
京都にはそんな店がいくつもあります。
個人的に、文庫本を読むのに最高だと思っているのが、
河原町三条の〈六曜社〉。
地下のカウンターでハイボールを飲みながら
高いスツールに腰掛けると
文庫本をめくるのにちょうどいいスペースのカウンターが。
一方、ハードカバーの本を読むのに向いているなと思っているのが、
同じく河原町三条の喫茶店〈葦島〉。
ここのカウンターは広くて気持ちがいい。
淹れたてのコーヒーのかおりの中で読書が進みます。
ちなみに、新聞を読むんだったら〈イノダコーヒ三条店〉の奥にある楕円形のカウンターへ。
午前中、もしかすると半分くらいの人が新聞を読んでいるのではないでしょうか。
京都滞在中は毎日通いたいカウンターです。

 


月刊連載『僕と京都』毎月2日公開
prof_shima 嶋 浩一郎

1993年博報堂入社。スターバックスコーヒーなどで販売された若者向け新聞「SEVEN」編集ディレクター。02年から04年に博報堂刊『広告』編集長を務める。2004年「本屋大賞」立ち上げに参画。現在NPO本屋大賞実行委員会理事。06年既存の手法にとらわれないコミュニケーションを実施する「博報堂ケトル」を設立。

カルチャー誌『ケトル』の編集長、エリアニュースサイト「赤坂経済新聞」編集長。2012年下北沢に内沼晋太郎氏との共同事業として本屋B&Bを開業。

編著書に『CHILDLENS』(リトルモア)、『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』(ディスカヴァー21)、『企画力』(翔泳社)、『このツイートは覚えておかなくちゃ。』(講談社)、『人が動く ものが売れる編集術 ブランド「メディア」のつくり方』(誠文堂新光社)がある。

好きなもの:ブルゴーニュワイン 地図帳 吸引式万年筆 時刻表 シングルモルト 新聞 年功序列とサラリーマン 歌川国芳 アヒルストア 小津安二郎 博士の異常な愛情 ウディアレン 鉛筆 檜のお風呂 ポストイット 僕は散歩と雑学が好き 神保町 マルセルラピエール アポロ計画 ラジオ 教育テレビ 京都