bn_mako

桜のおやつのこと。

 3月も終わりが近づいて、ようやく日差しが春めいてきたこの頃。早咲きの河津桜やおかめ桜はすでに咲いて、街のあちこちの桜も蕾がぷっくり膨らんできた様子。となれば花より団子。待ち遠しかった桜のおやつが並び始める季節。

 なによりも真っ先に買いたくなるのは桜餅。餅の色が白いもの濃い桜色のもの、葉っぱが1枚で控えめなものから2枚で包まれて香り高いもの。数え切れないほどの桜餅があるなかで、いかにも京都らしさを感じさせてくれて大好きなのが寺町御池下ル〈小松屋〉のもの。3月に入って登場し始める頃の餅はほぼ白に近い色。街のあちこちで桜が咲き始め、空気が桜色に染まり始めると少し濃くなり、八重桜が主流になる4月の中頃には濃い色に。毎日、東山を見てからその日作る色合いを決めるというのが、この店ならでは。その繊細さが嬉しい春の味は、今日はどんな色づかいかと買い求めるたびにワクワクする。今年からは花がアクセントになった桜色のきんつばも登場して、ますます足を運ぶ回数が増えそうだ。

 ほかにも桜色のおやつはたくさん。枝に咲く花をそのままそっと飴にしたような、桜の有平糖は新町北大路下ル〈紫野源水〉の春の名物。可憐な姿は食べるのが惜しくなる愛らしさ。自分のために買い求めるのはもちろん、手みやげにしても間違いなく喜ばれるもの。和三盆糖などを使った干菓子の桜はどこの店のものも可愛らしいけれど、祇園町北側〈鍵善良房〉の園の賑わいは、桜をはじめ春の景色を切り取った干菓子の詰め合わせで華やかさもひときわ。すぐ近くの祇園町北側〈祇園小石〉には、細かくした葉を練りこんださくら飴。塩味の加減がほどよくて、辛党にも喜ばれる味。松原室町〈末富〉では桜形に抜いた薯蕷饅頭の生地の桜合わせ。桜と白の2色の生地を使っていて、可愛らしいことこのうえない。好みの桜のおやつを手に入れたら、桜さんぽのおともにするのもまた楽しいもの。桜で知られる寺社はもちろん、鴨川、高瀬川、白川。街のあちこちで桜を愛でることができるのも、京都の春の至福かと。

c_maco10


著者プロフィール

月刊連載『毎日くいしんぼう』毎月17日公開
icon_maco

大和まこ(やまと まこ)

京都在住のライター&コーディネーター。雑誌『&Premium』で「&Kyoto」を連載中。