Faire le vendange en Val de Loire / ロワール渓谷地方でブドウの収穫をする

日本に住んでいたころはアルコールに滅法弱かったが、フランスに住み始め環境が変わりワインを飲む機会が必然的に増えて、いつの間にか人並みにアルコールを楽しめる体になったと思う。
こんな僕が農業大国フランスで必ず体験しておきたかったことが、ワイン醸造用のブドウの収穫である。
1人の農夫にロワール地方のワイン生産者を紹介してもらい、2008年10月5日の早朝に電車を乗り継ぎ、車窓から見える広大なブドウ畑を走ってワイナリーがある最寄り駅へ向かった。

ボワザール一家が営むワイナリー(Domaine du Mortir Boisard Fils)はロワール河を中心に広がるロワール渓谷地方にあり、彼らが所有するブドウ畑はトゥール(Tours)とアンジュー(Anjou)の間のサン ニコラ ド ブルグイユ(Saint-Nicolas-de-Bourgueil)にある。

ブドウ畑が夕焼けに染まるころワイナリーに到着して、ファビアンとシリルのボワザール兄弟と挨拶を交わし、これから約1週間寝食を共に過ごす20人のヴァンダジェー(Vendangeur:ブドウを摘む人)とワイナリーの家族とともに夕飯を食べながら翌日から始まるブドウ摘みの日程、工程の説明を受けた。
寝床は掘っ建て小屋で雑魚寝する人、乗ってきた車の荷台やテントを張っている人、様々である。トイレは無水式の簡易トイレ(排泄物におがくずをかけ、肥しとして使用する)。
シャワーは掘っ建て小屋と野外にあり給湯タンクが小さいので男子5分間、女子10分間の使用制限付きで、運が悪ければ真水で身体を洗うことになる。快適な環境とは言えないが
これもヴァンダンジュの醍醐味ではなかろうか。

翌朝7時起床、ブドウ畑は朝靄がかかり鳥のさえずりが聞こえる。8時の集合時間まで各自朝食をとる人、コーヒーだけを飲む人、朝が弱くぐずぐずしてる人様々。
全員集合後、彼らが所有するブドウ畑まではいくつかの車で移動する。
ブドウ摘みはブドウの木を挟んで2人一組の対面で果実を木の箱に収穫していく。
朝露が降りたブドウの木から冷たい果実を切り取っていく中腰での作業は大変である。
10時の休憩、ブドウ畑でのひと休み。持ち込んだ軽食の中にパンとパテドカンパーニュ、それにワイン! それから13時の昼食休憩まで果実が熟したブドウ畑を転々と移動した。
ワイナリーで1時間半の休憩後、収穫作業の再開である。
彼らのワインづくりは両親から引き継いだワイン畑から少しずつ拡大して1998年から有機栽培に取り組み、2006年からはビオディナミ(自然農法、環境型農業)を始めている。
彼らのブドウ畑は Sable / 砂質(ロワール地方の古い沖積土)、Gravier / 砂利質(石灰土とシルトの小石)、粘土石灰質の3つの土壌で、ロワール河も近くブドウ栽培に適した風土がある。
Cépage Caberne Franc / ブドウ品種はカベルネフランで各畑のテロワール(土地)の個性を表現したワイン造りをしている。

A suivre / つづく

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著者プロフィール

月刊『Les miettes de pain』毎月28日公開
icon_mayumi伊藤 源喜(いとう もとき)

京都出身。関西のパン屋さんで就職後、2006年に渡仏。
良い事も、悪い事も受け入れながらパリで日本人妻と生活中。
現在はLa Boulangerie du Nil に在職中。
www.terroirs–avenir.fr