bn_mako

鴨川ピクニックのこと。

 開花が遅かった今年の桜も、そろそろ終わり。週末ごとの雨は残念だったけれど、花見もしたし夜桜も堪能。さて次の楽しみは…といったら、日に日に緑が濃くなっていく鴨川でのピクニック。桜の季節は短いけれど、鴨川で過ごすのが気持ちいい季節は今から梅雨の前まで。そして涼しくなる秋の頃と期間が長いのも嬉しい。桜はなかなか自分の都合にあわせて咲いてくれないけれど、鴨川はいつでも待ってくれているのがなにより。私にとっては寺や神社よりも、京都に暮らす幸せを実感させてくれる存在となっている。
 四条や三条は人で賑わう鴨川も、丸太町通あたりまでくればずいぶんと静か。ベンチも点在しているし、草むらもふかふか。気軽なピクニックを始めるのにちょうどいい場所は選びたい放題だ。気に入ったおともがあればなお幸せ、ということで真っ先に思い浮かぶのはテイクアウトできるサンドイッチ。ベーグルやバゲットなど好きなパンと具材を選んで、注文ごとに作ってくれるサンドイッチは荒神口のベーカリー〈ランド〉で。鴨川まで徒歩1分というロケーションに加え、マシンで淹れてくれるコーヒーもあって、まさにピクニック仕様の一軒。老舗の〈スマート珈琲店〉や〈イノダコーヒ〉でテイクアウトするのもいいし、知恩院前〈やまもと喫茶〉のたまごサンドやハンバーグサンドも魅力的。自転車で活動するなら、ちょっと足を延ばして松原大宮〈まるき製パン所〉のコッペパンサンドを手に入れて向かうのもいいなあと妄想は膨らむ一方。時には〈菱岩〉の弁当といった贅沢な選択肢もある。もちろん家にあるおかずとご飯を詰めて持っていっても、川のせせらぎと景色が、最高のご馳走にしてくれることはいうまでもない。
 鴨川も今出川まで上がれば、高野川と賀茂川の合流地点の三角デルタが見えてくる。そこからさらに西北へ延びる賀茂川を進めば、北大路通のすぐ近くには自家焙煎コーヒーのカフェ〈ワイフアンドハズバンド〉。ここだけの楽しみは魔法瓶に入れたドリップしたてのコーヒーと、陶器のカップと小さなお菓子を添えたピクニックセットがあること。オプションで丸椅子やテーブルを借りて、賀茂川まで歩いて5分ほど。川原がたちまち自分だけのカフェになる、そんなピクニックもまた贅沢だ。

c_maco11


著者プロフィール

月刊連載『毎日くいしんぼう』毎月17日公開
icon_maco

大和まこ(やまと まこ)

京都在住のライター&コーディネーター。雑誌『&Premium』で「&Kyoto」を連載中。