Faire le vendange en Val de Loire 2 / ロワール渓谷地方でブドウの収穫をする 2

前回の続き
昼食を済ませ、午後の作業にブドウ畑へ向かう。
午前中よりも気温がぐっと上がり、ぬかるんでいた畑もいくらか乾いてきたが、
作業のために持ってきたスニーカーはドロドロになってしまったので、次回は必ず長靴を持参しようと固く決意した。
午後は気温が上がり空腹も満たされ、ブドウをひたすら摘み取っていく単純な作業はヴァンダンジェーたちの集中力が欠けて作業スピードも落ちてゆく。果実の摘み落としは罰則を取られてその日の夕食の後片付けをしなければならない。バンダンジェーたちはのんきに「Apéro!!!」(一杯飲もう!!!)と作業を終えたがっているが、生産者たちはその日に状態のいい果実を摘み取ってしまわなければ、いいワインが出来ないことは分かっているので僕らにはっぱをかけてくる。

17時に作業を終えてワイナリーへ帰るとブドウ畑から持ち帰った果実に機械を使って実の皮を破り、ステンレス製タンクや木の大樽で糖分や自然酵母を使用せずに(Pas de chaptalisation, pas de levurage.)数日間15日から長いもので180日間かけて伝統的な製法でアルコール発酵させる作業が始まっていた。
木の大樽では毎晩一回、人の足を使って微生物の働きをよくするために撹拌させている。
この一次発酵中の微発砲したブドウジュースは晩秋の夕焼け色で青っぽい香り、日中の作業で疲れた体にすっと入っていく爽やかで甘さを強く感じない飲み物であった。

夕食の準備はワイナリーの家族が毎晩心を込めて温かい食事を提供してくれる。前菜、主菜、チーズとデザートまでフルコースにワインは飲み放題。
食後、翌日の作業のためにさっさと寝る者は誰もいるはずもなく、歌を歌って皆に披露する人、トランプゲームをする人、語り合う人、ワインとともに様々な時間を過ごしている。
普段の生活で出会うことのない赤の他人がブドウ摘みの為にこうやってひとつ屋根の下で寝食共にして、やんちゃでとっつき難そうな奴らとも、日に日に打ち解けてゆける「ワイン」は不思議な力をもった飲み物であると思う。

A suivre / つづく

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著者プロフィール

月刊『Les miettes de pain』毎月28日公開
icon_mayumi伊藤 源喜(いとう もとき)

京都出身。関西のパン屋さんで就職後、2006年に渡仏。
良い事も、悪い事も受け入れながらパリで日本人妻と生活中。
現在はLa Boulangerie du Nil に在職中。
www.terroirs–avenir.fr