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「つつじまつり」

ゴールデンウィーク、谷根千界隈は街歩きの観光客でいっぱい。この時期そのお目当ては根津神社の「つつじまつり」。
根津神社は、千九百年余り前に日本武尊が創祀したと伝えられ、江戸時代五代将軍徳川綱吉の世継が定まった際に現在の社殿が奉建された、由緒ある神社である。
その境内にある約2000坪のつつじ苑に約100種類3000株のつつじが次々と咲き、見ごろとなる4月中旬から5月初旬にかけて毎年「つつじまつり」が開かれている。
約100種類といわれるつつじの中には、麒麟、霧島といった有名なものから黒つつじと呼ばれる珍しいものまであり、種類や場所により咲く時期が微妙にずれることから、ひと月近く楽しめるのだ。地元民である私も子供のころから秋の例大祭とともに「つつじまつり」を楽しみにしていた。もっとも子供の頃はつつじよりも出店のほうが楽しみだったわけだが、実際いまでも出店が楽しみなことにかわりない。
今年最後のつつじをたのしみに根津神社まで散歩をする。5月に入ると天候に恵まれ気温も上がったせいか、出店にあるラムネをのみたくなった。いまどきペットボトルのものもあるなか、昔ながらの薄緑色の瓶のラムネであった。残念ながら、のみ口の部分はプラスティックとなっていたが、ラムネ玉をおさえる窪みもちゃんとついているなどとノスタルジーに浸りながら、上手に飲み始める。何とも懐かしい素朴な味わいと思いきや、随分と人工甘味料が強いように感じた。
帰宅後ラムネについて調べてみると、複数のメーカーがあることや、イギリスから輸入されたレモネードが訛ってラムネと呼ばれるようになったことなどとともに、“中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律”の対象商品であることを知り大変興味深かった。
さて、肝心の人工甘味料については、明治時代ラムネがコレラの予防になるなどといわれ、爆発的に売れた際に多くの事業者が参入した結果、甘味料にサッカリンという人工甘味料が使われたとのことだった。その後サッカリンについては規制や緩和などが繰り返される歴史があり、私の記憶する昭和40~50年代のラムネの味がもはやどのようなものかはわからない。
奇しくも5月4日ラムネの日に「つつじまつり」で出会ったラムネは、歴史をひも解くよい味となった。

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著者プロフィール
月刊連載『パイント・オブ・ギネス プリーズ!』毎月8日公開
icon_naga長濱武明(音響空間デザイナー・アイルランド音楽演奏家)

1992年に初めて訪れたアイルランドでアイルランド音楽と特有の打楽器であるバウロンに魅了され、以来十数回の渡愛の中で伝統音楽を学び、建築設計の実務も経験する。現在は音響空間デザイナーとしての業務をこなしながら、国内におけるバウロンプレーヤーの第一人者として国内外で演奏活動をする他、プロデューサーとしてコンサートやワークショップを主催している。
バウロン情報サイト バウロニズム https://www.facebook.com/Bodhranizm