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「蚤の市巡りで深呼吸」

このコラムが公開される時には、
すでに日本に帰国しているってことかな。

買付けの仕事でフィンランドへ行くことにした。
しかも、たったの5日間。
くうー。
短い。

時間や予算が、余裕のよっちゃんだったなら、
買付けには、2週間はかけたいところなのだけれど。

「5日間って・・・、実家に帰るみたいだねえ」
と、友人に言われ、
まあ、フィンランドは故郷みたいな場所だから、
「片道9時間の帰省」だと思うことにした。

それにしても、久しぶりのフィンランド。
心は今、マッハな速度でスキップを踏んでいる。

あ。

このコラムが公開される頃には、
心はすでに、後退りのダラダラムーンウォークを踏んでいたりして。

ヨーロッパ諸国では、
リサイクルの習慣や、中古品を使う文化が当たり前ということもあり、
大抵、どの街にも日曜日の朝に蚤の市が立つ。

今まで訪れてきた蚤の市で、
特に面白いと感じた街はベルリンかもしれない。

ベルリンのマーケット文化は、ヨーロッパでもトップクラス。
街のあちこちに大規模な蚤の市がたくさん立つ。
まず、その数の多さと歴史の古さに驚いてしまう。

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ベルリンの壁が崩壊する以前の旧東ドイツ製品は、
この先作られるはずもない品々だからこそ、特に人気があって収集家も多い。
それらを見て周るだけでも、充分に面白い街だと思う。

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まあとにかく、
ヨーロッパは蚤の市巡りが楽しい。

ビックリするような希少品をサラリと置いている人もいれば、
下着(新品と思われる)を売っている人もいたり。
プロの出店者もいれば、
家で使わなくなったモノを出品する一般の人たちもいる。

そのごちゃごちゃ感を、ただブラブラと楽しむ。

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彼らにしてみると、
マーケットでモノを買うことは、ごく当たり前の日常なわけで、
誰かが大切にしてきたモノを、
青空の下で、
値段交渉をしながら購入していく。
そして、自分の暮らしに普通に取り入れていく。

良いモノは、良い。
好きなモノは、好き。

そのシンプルな考え方が、私は好きだ。

お気に入りの椅子が買えた日は、
ご機嫌な気分で、それを電車で持ち帰る。
それでいいのだ。

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ちなみに冬が長い北欧では、
4月~9月下旬あたりが、屋外マーケットのシーズンとなる。

フィンランドの蚤の市は、
規模も人々ものんびりとしていて、
その控えめな雰囲気が、実に私好みだったりする。

編み物をしているお婆ちゃん。
持参したお弁当を食べているおじさん。
みんな楽しそうにおしゃべりしたり、お茶をしたりと、
商売っ気はまるで感じられず、日常の延長のような風景だ。

こちらも自然と、ガツガツしなくなり、
その日の空気を深く吸いながら、ユックリと楽しむことができる。

なぜだか、落ち着く。
焦らずに、良い出会いを待つことができる。
だから、また行きたくなる。
それが、フィンランド蚤の市の魅力なのだと思う。

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実はそんな雰囲気とよく似た骨董市が、東京にも存在する。
それが、「大江戸骨董市」。
私はこの市をとても好きになってしまい、
帰国後もすぐに、次の出店が控えている。

海を渡って、自分が持ち帰る美しいヴィンテージたちが、
東京の空の下で光を浴びる姿を想像するだけで、
今から胸がキュンとしちゃってしょうがない。

ま。
まだ何も仕入れていないし、
旅の荷造りすらしていない私なのだけれど。
(出発前に執筆中)

 


著者プロフィール

月刊連載『旅のち、たびたび北欧へ』毎月16日公開
prof_shiho伊藤 志保(いとう しほ)

カフェ「istut」のオーナー&厨房担当
自らが買付ける北欧ヴィンテージショップ「2nd istut」も営む
古いモノ、ヨーロッパ、蕎麦、ワインが好き
1969年生まれ 長野市出身