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“男色濃厚”

男、男、オトコ。
ホールの大半は男性客の図は壮観。今麻布で光っている店といえばここだろう。元カンテサンスのディレクター、小澤さんがオーナーソムリエをつとめる新店Crony。小澤さんを筆頭に彼が信頼を置くサービス陣の懐深さで、カウンターの男性客、テーブルの男性3人グループもむちゃくちゃ楽しそうにやっている。大人の良店とは男が楽しめる店。新店とは名ばかりの堂々たる新星です。

グランチャーレとジャガイモのコロッケ
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アミューズからブラック一色の男仕様。石と間違えないように冷たいのが石、暖かいのがコロッケ。

続いてたけのこのサブレ。
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ごくごくシンプルなサブレが美しい。

リ・ド・ボーのフライ ボッタルガ風味のベアルネーズソース 山菜添え
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シェフの春田さんはカンテサンス出身。その後Tirpseのシェフを経て、Crony。北欧寄りの春田さんの料理をきちんと頂くのは初めてだけれど実にいい感じ。味わいが可憐。印象がフレッシュ。大切にされている女子のような汚れる心配のない生粋の清潔感といったらいいか。力強いわけではないけれど、それでも何か突出する独特の“パーソナリティ”がある。

そしてこのパンが大変です(笑)。
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一次発酵した後、鍋に入れて焼くこのパンはサンフランシスコ、セゾンのシェフから分けてもらった酵母を使っている。鍋に入れて高温で焼くので周りはガリガリに香ばしい。そこにヨーグルトを混ぜ込んだ自家製ホイップバター。ガリガリが食事にあうの?と思いきや、これがなかなか。パン好きには是非オススメしたい新タイプのパンだ。

ブリのロースト キャベツのソースとわかめパウダー
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カンテサンスを彷彿させる美しい魚。

ランド産鳩のロースト ジュのソース 蓬のオイル 蓬のベニエ
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実に素晴らしい火入れ。カンテサンスチルドレンは、どのシェフも仕事が美しい。決して端折ることのない誠実な仕事が着実味となって現れている。料理は味、創作性、あれこれ言われるけれど、これだけ美味しいものが溢れる世の中で「美味しい」が大前提であるならば、何があったら特別なの?となった時、特別とフツーの違いは、その人らしさしかないのだよね。

冷たすぎるロイヤルミルクティー
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あと切れの良さは、洗練というイメージには必須。春田さんの軽やかなテンポで進む料理の後にはどっしりした甘味は似合わない。まさにミルクティーを飲んだ後の食後感の軽さ。好ましいのよね、実に。

ひとめぼれ米のアイスクリーム 醸し人九平次 純米大吟醸 2015 がけ
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お米本来の優しい甘味がしっかり感じられながら、口どけは米と感じさせない滑らかさ。お米の風味の合わせ技で日本酒をまわしかけるのだけれど、米が米を優しくする。シメにはぴったりだ。

ラストオーダーは深夜25時とあって、二軒目使いも多く、入店してから常時ガランとすることがない。食事が終わり話に花を咲かせていたら、コックコートから私服に着替えた春田シェフが挨拶にみえた。友人と「わりと帰るの早いんだね」なんてスマホをみると25時半、そりゃ帰るよね、と大笑い。居心地の良さは時に交通費を嵩ませるので要注意(笑)。終電アラーム必須の良店です。

“Crony”
http://www.fft-crony.jp/


著者プロフィール

月刊連載『153.1 × manger』毎月18日公開
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東京生まれ、東京育ち。
いろんなコトしてきました的東京在住人。
主に食、ほか、アート、映画、ファッション、五感に響いたものを写真と言葉で綴ります。