Bientôt les vacances d’été. / もうすぐ夏休み

本格的な夏をまえに。

日本にいた頃は一般の人達が有給休暇を取る時期にはたいがい忙しく仕事をしていた。
年末年始、ゴールデンィーク、夏休み、連休など働き時であった。

こんなことは普通に当たり前だったのだがフランスに来てからはちょっとちがう。
“ Vacances ” 始めはなかなか馴染めずこんな世界が存在するのかと思ったくらいだ。
渡仏し、初めての有給休暇・夏の3週間、こんなに長い休みどうしよう・・・
と思ったのを覚えている。休みがとれる時期が決まるのは大体春あたりなので夏旅行の計画は十分にできる。

フランスでは全ての国民が年間5週間の有給休暇をとることが義務になっている。これは知っている人はよく聞く話だと思う。
たとえば実際どうなるかというと。
仕事に就くと、その店のオーナー(以下パトロンとする)が一年でどの時期に5週間の休みを分けて取るかと言うことを決めるわけである。それは職業によってまちまちでパン屋お菓子屋であれば例えば、お店ごと8月に3週間休業、残り2週間は客入りが少ない時期に店ごと休むか、従業員個々で残りの2週間を交替で取らせる。
フランスではパトロンも従業員も関係なく年に5週間休んでいるのである。休まなければいけない。
又は、年中無休営業の店があれば、従業員達は交代で休みをとる。
ヴァカンスと聞くと、夏というイメージが強いのはやはりフランス人は夏に休みを取って家族と一緒にヨーロッパやフランス国内、田舎の家族のもとへ行ったりすることが多く、7、8月は街に人がいなくなるというフランスでは普通の現象が起こるので、商売をしている人はやはり店を開けても閑古鳥になるわけで必然的に夏は休もう、となる。

パリのパン屋は同じ界隈に何店舗もある場合は、すべての店が同じ時期8月にとってしまうと、パリに夏に残っている人々もいるので主食のパンが買えないのはさすがに困るわけだ。
地域の店同士で今年はうちが7月休み、じゃあうちは8月休みというように
その地域でパンが買えないという困ったことが起こらないようにしている。
現に働いていた店では、隔年で7月、翌年8月店ごと休業し、自分の夏のヴァカンスに当てられていた。

過去のパトロン夫妻は子供が二人いるので、店の経営がある程度軌道にのってからは
稼ぎ時のクリスマス(年末)にさえ店を閉め、田舎の家族と過ごす時間に当てていた。
こういった話を聞くと、日本との考え方が180度違うなと思うわけである。
フランスに暮らすならば郷に入っては郷に従えと、取ることが義務なので堂々と年間5週間の休みを取ろうと思える。

日本人は年に何度もない短い休みに、どれだけ旅先で楽しめるか、あそこに行って、あれを見て、あれを食べて・・・・とみっちり計画を立てて最終日には疲れていたりしている。
よくフランス人の友人になぜ日本人はあんなに旅行日数が少なくせかせか旅をするんだと聞かれる。だってしょうがない!休みが取れないから。
さて、フランス人の夏休み。
彼らは長い3週間の休暇を本当にリラックスする目的で過ごしに行く。
計画したことが例え出来なかったとしても、嘆くことなくただただその時間を
楽しんでいる。
ただ静かなアパートを借りて、特に観光地でもなく遊びに行くところがなくとも
本を読んだり、散歩したり、ゆっくり食事をして本当にのんびりと過ごすようだ。
こんな過ごし方はフランスに長く住んでいる自分でもあまりしたことがない(笑)
やっぱり僕は日本人、今年はどこへ行こう。

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著者プロフィール

月刊『Les miettes de pain』毎月28日公開
icon_mayumi伊藤 源喜(いとう もとき)

京都出身。関西のパン屋さんで就職後、2006年に渡仏。
良い事も、悪い事も受け入れながらパリで日本人妻と生活中。
現在はLa Boulangerie du Nil に在職中。
www.terroirs–avenir.fr