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「魔界」~ハイブリッド~

先日「魔界」という舞台を鑑賞にいった。どのような舞台なのかというと、「歴史上非業の死を遂げたものたちが集い永遠に戦い続けることにより怨念を現世に蘇らせないようにしているという設定で、現役のプロレスラーや役者がセリフをしゃべり武器を持ちアクションをする演劇中に、ミュージシャンが演奏しそれに合わせるかのように、実際に肉体をぶつけ合ってプロレス技をかける、再演のないエンターテイメント」と説明すると余計に難しいので、簡潔にプロレス×演劇×音楽の総合エンターテイメントとでも言えばよいであろうか。
ともすれば批判を受けがちな他分野とのコラボレーションやクロスオーバーのショーにあって、様々な要素を巧みに取り込んだ見事なハイブリッドエンターテイメントであり、300人規模という会場の雰囲気もあいまって、その熱気のなかにぐいぐいと引き込まれ、自然と声をあえげて応援してしまうほど、素直に楽しかった。

「魔界」からの帰り道、ロックに目覚めた学生時代、音楽仲間とそれぞれ好きなバンドの音楽を「(売れなくても)演りたい”サウンド”を目指すか」「(演りたくなくても)売れ線狙いの”サウンド”を目指すか」などと度々議論したことや、アイルランド音楽をはじめた頃「自分自身のために演奏するのか」「人に聴いてもらうために演奏するのか」、「伝統的なスタイルを追及するのか」「アレンジをしてオリジナルのスタイルを創るのか」などと考えていたことなどを思いだした。

どの世界においても、時にはどっぷりその中に身を置くことも必要だし、時には「こうあるべき」といった考えだけに陥らず、俯瞰することも必要なのだと思う。

人を楽しませたいと思う気持ちに垣根はないのではないであろうか。

edf

 


著者プロフィール
月刊連載『パイント・オブ・ギネス プリーズ!』毎月8日公開
icon_naga長濱武明(音響空間デザイナー・アイルランド音楽演奏家)

1992年に初めて訪れたアイルランドでアイルランド音楽と特有の打楽器であるバウロンに魅了され、以来十数回の渡愛の中で伝統音楽を学び、建築設計の実務も経験する。現在は音響空間デザイナーとしての業務をこなしながら、国内におけるバウロンプレーヤーの第一人者として国内外で演奏活動をする他、プロデューサーとしてコンサートやワークショップを主催している。
バウロン情報サイト バウロニズム https://www.facebook.com/Bodhranizm