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vol.17 自由と規律

ある日の夕食での出来事。
いつものように仕事を終えて、老若男女問わず沢山の人が利用するようなお店(ファミリーレストラン的な。)に入店。
大抵がボックス席かソファで地続きになっている席があって、その日は後者に案内されました。
既に、両隣にはお客様が座っておられ、その内の一組で30代前半くらいのカップルがスマートフォンでバラエティ番組の「動画」を鑑賞していました。しかも結構な大音量で…。
店内には、もちろんゆっくりと時間を過ごしてもらえるよう配慮されたBGMが流れているのですが、そんなものはおかまいなしといった状態。
ファミリーレストランに行く時は、賑やかな雰囲気は承知の上で足を運んでいるのですが、さすがにちょっと気になるなぁと思っていたら、店長らしき方がやってこられて、ボリュームを下げるようにそのカップルに注意をされました。

正直、私は店長さんが注意された事に少し驚いたのですが、そのお陰でとても快適に過ごす事が出来ました。

最近、自分のお店でも、他のお客様がいらっしゃるにも関わらず動画をそこそこの音量で見たりするお客様がたまにいらっしゃいます。
BGMと混じり合ってそれはとても耳障りで、内心ではもやもやしつつ、辞めてもらうのを待つばかりでした。
けれど、今回の件で考え方が変わりました。やはり、お店側が注意すべきなのだと。

昔、勤めていたお店で一度お客様に大逆上された経験があります。
20人程座れる大テーブルで、着席率は8割。その中に赤ちゃんがいました。
元気いっぱいの赤ちゃんで本当にそれはすばらしいことなのですが、テーブルを永遠に叩き続けていました。
そのうち持っていたおもちゃで叩きだし…、大テーブルなのでもちろん他のお客様にも響いています。
そして、それは永遠に繰り返されていたので、私は、せっかくゆっくりとお茶をしようと思って来て下さった他のお客様のことを考えると、そわそわして、いてもたってもいられず、「すみません、響きますので… 」と言った瞬間、「子供のすることにぃー!!」とちゃぶ台をひっくり返すような勢いでお怒りを受けました。
まさか怒られるとは想定外で、かなり衝撃的だったのですが、その時の上司には、他のお客様にテーブルを移動してもらうようにすればよかったと言われました。
逆に波風を立ててしまった事がトラウマで、それ以降、私は余程気になることがあってもお客様に何か注意したりする事はありませんでした。

カフェは自由に過ごす場所。
それに違いはないのですが、他のお客様を思いやる気持ちもやはり大切だと思うのです。
マナーの悪い人のお陰で、せっかくティータイムが台無しになる事だって。逆に少しの配慮で、みんながハッピーに過ごす事ができるかもしれません。
私が通っていた高校のテーマが「自由と規律」でした。「自由にしていいけど秩序は乱さないでね」みたいな、そんな時はいつもそのことを考えます。

今回の店長さんの行動が、改めて、私にお客様が快適に過ごせる環境を作るには、お店としてポリシーを持って行動すべきだよと思わせてくれた事に感謝です。


毎月20日公開 月刊『12×Coffeecups』
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とくだ あきこ
ソングバードコーヒー店主
京都出身。
飲食店、インテリアショップを経て、2009年に堀川丸太町にソングバードコーヒーをオープン。