bn_mako

肉系サンドのこと。

 京都でたまごサンドやフルーツサンドにであう喜びは以前にも書いたけれど、もうひとつ欠かせないのがビフカツサンドだ。ビフカツは関西の洋食屋ならほとんどの店でメニューにある定番。やっぱりちょっといい値段で贅沢だと思うからこそ、幸せもひときわ。運ばれてきた瞬間の香りに鼻をくすぐられ、おもむろに切る。サクッと香ばしい衣の中が、ほんのり赤いミディアムレアだったら最高。噛むごとに肉汁がじゅわじゅわと広がるビフカツ。そのビフカツを隅々まで楽しませてくれるのがビフカツサンドだと思う。

 なにしろビフカツの場合、どうしても肉汁やソースがお皿に残ってしまって悔しい思いをすることもしばしば。パンで拭ってという方法もあるけれど、ご飯が相方だとそういうわけにもいかず。ところが最初からサンドイッチになっていれば、おいしい肉汁や衣の油と渾然一体となったソースはすべてパンが受け止めてくれる。余すことなくビフカツを満喫できる、このうえない仕組みなのだ。

 名店や人気のビフカツサンドはいくつもあるけれど、木屋町で惜しまれつつ閉店した後にグリルとなって祇園に復活した〈グリル グリーン〉のビフカツサンドは、黒毛和牛の絶妙な火入れと軽めのデミグラスソースがベストバランス。〈洋食おがた〉で奮発したいのは、濃厚なデミグラスとからし&マスタードがきいた尾崎牛のビフカツサンド。溢れる肉汁に注意が必要なミンチカツサンドもまた〈洋食おがた〉で外せない味だ。そう考えると肉系サンドにはまだまだ魅力的な顔ぶれが揃う。なかなかメニュー制覇にいたらない洋食の名店〈コリス〉である時知ったステーキサンドは、絶妙の火入れとチーズがきいて、どんなに満腹でも締めに頼まずにはいられない逸品。2016年の末にお目見えした先斗町と木屋町の路地にある〈酒処てらやま〉では、炭火で焼き上げる和牛炭焼サンドウィッチがもはや名物。揚げ物に定評ある洋食店〈プチレストランないとう〉では、しっとりシルキーなヒレカツサンドや、ミンチカツサンドが待ってくれている。喫茶店なら〈やまもと喫茶〉のふんわり優しく、食べごたえあるハンバーグサンド。

 ビフカツ、ステーキ、とんかつ、ミンチカツ、ハンバーグ。ソースまで拭って食べたくなる肉料理はサンドイッチで食べるのがベストなんじゃないと強く思う近頃。

c_maco15


著者プロフィール

月刊連載『毎日くいしんぼう』毎月17日公開
icon_maco

大和まこ(やまと まこ)

京都在住のライター&コーディネーター。雑誌『&Premium』で「&Kyoto」を連載中。