masakitokuda

第二十一回 SIMフリー

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先日、新しいiPhoneの発表があった。
3年前からiPhone 6をずっと使っている僕は、この発表を心待ちにしていた。かなり前から音量調節ボタンの「下げる」が全く効かなくなっていて、充電もある角度でジャックを差し込む必要があり、10回に1回くらいしかうまく充電出来ない。電話もマイクの部分が壊れているのか、通話相手には僕がデスボイスで喋ってるようにしか聴こえないらしい。もちろん、画面にはびっしりヒビが入っている。

事前のリーク情報通り、「iPhone 8」と「iPhone X」という2種類が発表された。
「iPhone X」は僕みたいなもんには、まだ早いと判断して「iPhone 8 plus」にすることにした。実際は、単に「顔認証」よりも「指紋認証」の方が実用的だし、あの「切り欠き」も地味に気になりそうという理由。MAGPULのiPhone 7用ケースがすぐ使えるのも大きい。

それともう一つ、今回はある決意を秘めていた。
それは、新しいiPhoneにするのを機に「SIMフリーにする!」ということ。いわゆる、格安SIMである。
昔から、SIMフリーに関しては見たり聞いたりしていたが、キャリアのSIMフリー義務化以前は「SIMロック解除」とか「脱獄」なんていう違法感溢れるワードに腰が引け、ハッカーか、よっぽどその筋の情報に強い人にだけ許された特権だと思い込んでいた。
2年くらい前に義務化されてからも、極めてその方面の知識に疎い僕には、娑婆(フリー)への壁はまだまだ高く感じられた。

だけど、ここ最近周りでもちらほらと格安SIMにする人がいたり、格安SIMの会社や情報も一気に増えたりして、新しい端末を迎えるのを機に、重過ぎる腰をやっと上げる事にした。

格安SIMを販売している会社を、MVNO(仮想移動体通信事業者)と言うらしい。それに対して、docomoやauやsoftbankはMNO(移動体通信事業者)である。要するにアンテナや基地局を持っているMNOから、回線だけをレンタルしてユーザーにサービス提供しているのがMVNOという訳である。格安SIMの主なデメリットは「回線が不安定」とか「店頭での対人サポートがない」「初期設定が面倒」「キャリアメールが使えない」などらしい。

僕は、日中ほとんど自分のお店か事務所にいるので常にwifi環境下だし、大手キャリアに機種変更以外のサポートなんかで訪れた事は携帯を持ってから一度も無い。キャリアメールもiPhoneにしてから使っていない。調べれば調べるほど、僕の場合、むしろ格安SIMに変えない理由を探す方が難しい。

かくして、僕は晴れて自由の身(SIMフリー)となった。MVNOはいろいろ悩んだ結果、「LINEモバイル」にした。申込みから設定まで、全てパソコン上で何の問題もなく完了。回線速度も、今のところ問題無し。その結果、月々の携帯電話に掛かるコストは通信費だけで言えば、以前の5分の1になった。端末代を考慮しても、半額以下。年間で言えば、7~8万円(夫婦で15万円!)のコスト減である。一体今まで何にお金を払っていたのか・・・。思考を停止したり、手間やリスクを回避したりすることへのコストといえば、それまでだけど。

とは言え、今まで大手キャリアがアンテナや基地局を沢山建ててくれたり、端末の費用負担などで携帯電話自体を普及させたことで、現在のある程度安定した格安SIMのサービスもあるわけなので、その先行投資だったと思おう。膨大な通話時間や回線の速度や安定性、手厚いサポートや企業ブランドによる安心感が必要な人もいる。まあ、選べることが自由なのである。

こういった、ちょっと調べたり、動いたりすることで下がるコストってまだまだ生活の中に潜んでいそう。闇が深いですね。


著者プロフィール
月刊連載『月刊 唄鳥』毎月5日公開
icon_songbird徳田 正樹
インテリア・プロダクトデザイナー
SONGBIRD DESIGN STORE.」代表

京都生まれ。大学卒業後、内装会社勤務を経て、1999年「IREMONYA DESIGN LABO」の立ち上げに参加。その後、2008年まで同社のデザイナーと代表を務める。2008年退社後、Masaki Tokuda Design.設立。2009年に、京都でカフェを併設したインテリアショップ「SONGBIRD DESIGN STORE.」開業。