Journée du Patrimoine (à la Manufacture Poilâne à Bièvres.) / 文化遺産公開の日

毎年9月の第三週末にヨーロッパの歴史的な文化遺産が一般に公開されるイベントがある。
パリのフランス大統領官邸(エリゼ宮)は人気が高く、普段は並んで順番を待つことに苦痛なフランス人でさえ行列をつくっている。運が良ければ大統領が迎えてくれるそうだ。
このイベントに興味が沸かなかったが、ポワラーヌの工場が公開されると聞いて行ってみた。

La Manufacture Poilâne(ポワラーヌの工場)はパリ郊外エソンヌ県のビエーブルにある。
リオネル ポワラーヌが妻のイヴと共に伝統的なパンの製法と職人技術を維持継続させながら、なおかつ発展していける工場を1983年に建設した。
見学を待っている間に森に囲まれた敷地内に見える煙突から煙とともにパンが焼けるいい香りが漂っていた。建築された工場はポワラーヌの田舎パン ラ・ミッシュ(la miche)の丸い形を象徴して作られており、12の製パン室に24の薪窯で30人のパン職人たちがパンを製造している。
早朝4時から21時に職人が交代制でひとつの窯12平方メートル(奥行4,5m幅3mぐらい)に一度で100個も田舎パンを入れて焼成することができて3回転させている。

ポワラーヌの田舎パンはこのように作るらしい。
他のパンとの違いとして、ポワラーヌは本質的に自然酵母を使って発酵させている。
添加物(安定剤)は不使用で、製造工程はだいたいパンの焼き上がりまで6時間かけており、小麦は品質の高いものを石臼を使ってゆっくり熱をもたないように製粉して、製造でブレが出ないようにいくつかの小麦畑をブレンドして田舎パン用の小麦粉が作られている。
始まりは酵母から。 まずは少しの酵母、小麦粉と水をむらなく混ぜる。
2時間の発酵で酵母が増殖したら小麦粉、ライ麦粉、塩と水を加えて捏ね力強い生地を作る。 捏ね上げ後、木の桶に移して1時間パン生地を休ませる。
生地の色が明るい栗色になったころ、1つ2,3kgに分割して、成形は丸い田舎パンをイメージして丸めたら麻を張ったヤナギの枝で編んだ籠に入れて生地を2~3倍に発酵させる。
この合間に窯に薪(ブナの木)をくべて火をおこし280度ぐらいまで窯を熱くして、
窯入れ前にポワラーヌのイニシャル‶P‶をパン生地に描いたら素早く窯入れする。
260度ほどに落ち着いた窯の中に入ったパン生地は大きく膨らみ、厚い皮ができて
ゆっくりと中心まで火が入る。約1時間の焼成でパンは薪の火で熱した石の上で柔らかい熱を浴びながら粉の香りを取り込んでいく。
薪に使っているブナの木は家具作りで出た廃材だそうだ。
言葉で伝えるのが難しいが、丸い形をした工場の中心に野球が出来そうな空間があって
山のように積まれた薪をとても大きいクレーンゲームの要領で12の各作業場に薪を効率よく供給出来るシステムには正直ぶったまげた。

現在はポワラーヌの工場で1日8~12トンのパン(ミッシュ、くるみパン、ライ麦パンとカランツのライ麦パン)とサブレを生産している。
故リオネル・ポワラーヌは品質管理に厳しく勤め、従業員が長く続く良い仕事環境を確立したのだろうと思う。案内してくれたパン職人はポワラーヌに勤めて20年の人だった。
今の代表アポロニア・ポワラーヌは父親の残した規則に従い、新しい試みをしながら
フランスの文化遺産を継続しているのだろう。以前は夜勤労働があったらしいが彼女が廃止したらしい。
見学の帰り際に1日研修は出来るかと尋ねたところ可能だそうだ。
ただ工場は僕の住まいから遠いのでポワラーヌ本店を勧められた。
研修してみたいと今度聞いてみようと思っている。

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著者プロフィール

月刊『Les miettes de pain』毎月28日公開
icon_mayumi伊藤 源喜(いとう もとき)

京都出身。関西のパン屋さんで就職後、2006年に渡仏。
良い事も、悪い事も受け入れながらパリで日本人妻と生活中。
現在はLa Boulangerie du Nil に在職中。
www.terroirs–avenir.fr