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ハロウィーン

ここ数年日本でも大きく取り上げられるようになったハロウィーン。仮装した若者たちが繁華街を練り歩く様子に、実際は何なのかと気になる方もいるであろう。日本におけるハロウィーンのイベントは、1970年代にニューヨークで始まった仮装パレードやそれをもとに1990年代から始まった東京ディズニーランドのイベントをきっかけとして広まったものと思われるが、もともとハロウィーンとはケルト暦の「サウィン(万霊節)」の祭を起源とする説が強く、ケルトの文化や習慣をアイルランドやスコットランドをはじめとする各地域で受け継がれたものだといわれている。「サウィン」とは古代ケルトの信仰における新年である冬の季節の始まりをいい、10月31日の夜に始まる収穫祭では冬が来るのと同時に世界は闇に閉ざされ死者がよみがえると信じられてきた。ケルトは元来自然崇拝の多神教でドルイドと呼ばれる神官が司っていたのだが、特にアイルランドではキリスト教改宗時、ケルトの文化を色濃く残したままキリスト教化した歴史があり、キリスト教宗教的儀礼とケルト文化としての習慣・風習などが共存しているため、サウィンからハロウィーンへ習慣化していくのも頷ける。18・19世紀、アイルランドやスコットランドからの移民によってアメリカに渡ったハロウィーンの風習がその後20世紀初めには人種的宗教的背景に関わらず広まっていったことを考えれば、ハロウィーン自体が知られていくことは喜ばしいことなのだが、なんとなくサウィンからかけ離れていくハロウィーンのイベントに割り切れない気持ちをもつのは私だけではないと思う。

ハロウィーンとアイルランドについては、アイルランド大使館のショートムービーをご参考ください。
https://www.facebook.com/irelandinjapan/videos/1612477162106325/

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※写真:ケルトモチーフの益子焼 陶芸家 鈴木稔氏作

 


著者プロフィール
月刊連載『パイント・オブ・ギネス プリーズ!』毎月8日公開
icon_naga長濱武明(音響空間デザイナー・アイルランド音楽演奏家)

1992年に初めて訪れたアイルランドでアイルランド音楽と特有の打楽器であるバウロンに魅了され、以来十数回の渡愛の中で伝統音楽を学び、建築設計の実務も経験する。現在は音響空間デザイナーとしての業務をこなしながら、国内におけるバウロンプレーヤーの第一人者として国内外で演奏活動をする他、プロデューサーとしてコンサートやワークショップを主催している。
バウロン情報サイト バウロニズム https://www.facebook.com/Bodhranizm