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記憶

人の記憶は曖昧なもので、昨日の晩御飯はなんだったか思い出せなかったりするくせに

子供の頃のあるシーンを鮮明に思い出したりすることがあります

当時は楽しかったり、辛かったり、なんでもなかったりするような思い出も

時間の経過とともにどれもいい思い出です

我が家の息子は動物大好きですが虫にも興味津々です

夏はセミを「みんみん!!」と呼んで小さな体で大きな木を

ひっくり返りそうになりながら見上げていました

夏の終わりになってお勤めの終わったセミたちが木からたくさん落ちますよね

息子はそれを「ちもいー」(きもい)といいながら嬉しそうに拾います

しかしながらママは虫が大嫌いで、小さな蝶々でも悲鳴をあげる人

ちなみに「ちもいー」はママが虫を見たときの口癖を真似してるのです

拾った虫を嬉しそうにママに見せるものでママは大迷惑

そういえば自分も小学生ぐらいの頃

家の近所のどぶ川みたいなところがあったのですが

そこでウナギが取れると友達が言うので行きました

夕方暗くなるまで夢中で取り続けて、その量は二人でバケツに山分けしても

まさに大漁!

私はやったぜと意気揚々と家に帰り母にどうだと自慢しました

しかし私の期待した反応は帰って来ず

「なにこれ!気持ち悪い!はよ返してきて!」と母は青ざめた顔で言いました

玄関先でのその対応に、心底がっかり

すっかり暗くなった道をまた戻って川に戻しに行き、どっと疲れた記憶

今その時の映像を思い浮かべると

蛇みたいのがうねうねバケツの中で絡み合って頭をもたげています

うーん、確かに気持ち悪い

それにウナギと言っていましたが本当にウナギだったのか?

どぶ川にそんなものいるかと思い調べてみると

これだというものがありました「タウナギ」です

ウナギとはついていますが、ウナギとはまったく別の種類だそうです

見た目も蛇みたいでつるっとしてます

あ~これや!絶対これや!うーわ、キモいなー

ごめんな、おかん

と思いながらちょっと楽しい気持ちで調べられました

母は亡くなってもうすぐ三年になりますが、あの時のこと覚えてたかなぁ

虫を嫌がる妻にそんなことがあったよと伝えると

妻は「男の子って最悪やなー、息子もそんななるのかぁ」

と恐れおののいておりました

息子にもそんな記憶に残るシーンをたくさん作ってほしい

いつか微笑ましく家族のことを思い出してほしいな

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著者プロフィール

『月曜日のジョウロ』毎月13日公開
prof_jyoro橋溝 祐司 (はしみぞ ゆうじ)

京都生まれ 大学卒業後サラリーマンになるも一年で脱サラ
一転美容師になる。2007年独立してhair art jyoro設立。
2016年2月移転してジョウロと名前を変え丸太町智恵光院で一席のみの美容室を営業中
ジョウロ(HP)