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“週末の遠足”

鎌倉に降り立ったのは軽く10年ぶりくらいだけれど、なんとしても行かなければの店がここ。築地から移転したイチリンハナレだ。
東京から1時間強、駅から歩くこと15分という大人の遠足が新鮮。
日本家屋をそのまま使い、靴を脱いで廊下を渡り、ダイニングルームは大きなテーブル一つをゲスト皆で共有する。常連の友人の企画なので美味しいものを全て網羅した素晴らしいコースの始まりだ。

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一品目は手でつまんで。
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たっぷりの雲丹に塩気のキャビアをおこげのクラッカーで頂くフィンガーフード。もちろん美味しい。

そして衝撃の一皿がこちら。
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季節最後の上海蟹は3種類の紹興酒漬。何を隠そう、私は蟹よりも圧倒的に海老派。しかも上海蟹には特別興味もなかったのだが、「やべぇ」と口走ってしまいそうなくらい、むちゃくちゃに美味しい。上海蟹って身を食べるのが面倒であるのに、いつまでもしゃぶっていたい昇天的な美味しさはなんと形容したらいいのかわからないほど。周りのグルマンも今期最後にして最高の上海蟹と口を揃えていっていたのだから、私の衝撃もまんざら大げさでもないのだと思う。

イチリンハナレといえばこれを頂けなければ始まらない。
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丹波高坂地鶏のよだれ鶏。
ナッツのアクセント、フォアグラのまろやかさを辛味に絡める至福。斎藤シェフが「スープ残しておいてくださいね」というには訳があり、程なくして登場するのがこれ。
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肉汁たっぷりのアッツアツの餃子がどーん!!!これをソースのなかにザブンと沈め頬張るのだ。たまらんでしょう?
そこにもうひと押し。
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残ったソースplus肉汁のスープに投入されるのがちょいスーハーピリ辛の山椒麺!!!
美味しいものを余すことなく食べ尽くしたいという食べ手の気持ちを鷲掴みにするシェフ。惚れますね。
お次はさらりとまろやか味。
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ピリ辛を鎮める優しい旨味ソースの焼フカヒレ。焼きって初めてだけどフカヒレの焼き目が香ばしいってなかなか素敵な食感だ。

鮟鱇の唐揚げ。
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下の鮟鱇のイラストはスタッフの直筆!
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食べ終えると鮟鱇のあった部分に何やらイラストが!!裸の女性のイラストだったり男性だったり、という中、私はおめでたく「当たり!!」だそう。幸先いい!

最後の締めは、どうしても食べたいとリクエストした赤。
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鱈の白子の麻婆豆腐は噂通り絶品。王道の中華がこうも感動的に美味しいと今まで何を食べていたのか、と思う。フレンチで好みの店があるように私の中華は斎藤さんで決まりだなと心のどこかで確信した感ありの昼下がり。遠出をしてでも訪れる価値ある一軒、なんてミシュランのようだけれど、ホントにここはおすすめしたい。

大人六人、それぞれご機嫌で鎌倉駅まで腹ごなし。帰りの電車は快適に行くでしょう?と湘南新宿ラインはグリーン券購入。普通でも座れないことないけどね、余韻を大切にしたいじゃないですか。こんな小さな贅沢?こそ大人だなぁ、なんてね、思ったりする訳です。

イチリンハナレ
http://www.whaves.co.jp/ichirin/kamakura/


著者プロフィール

月刊連載『153.1 × manger』毎月18日公開
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東京生まれ、東京育ち。
いろんなコトしてきました的東京在住人。
主に食、ほか、アート、映画、ファッション、五感に響いたものを写真と言葉で綴ります。