Steamed Food

自分の店を開くなら、花巻の店にしようと思う。花巻というのは肉まんの皮のところだけをクルクルと巻いた塊だ。
木枠でガラス窓の引き戸をガラガラと開けると、中華街で肉まんが蒸されているみたいな大きな蒸籠が鎮座している。「2つちょうだい」と言われて、蓋を開ける。小さな小さな店いっぱいに、もくもくと湯気が広がって、ほんのりと甘い匂いが漂う。蒸籠の中には、花巻と、お饅頭と蒸しパンと…。
こんなことをぼんやり考えるようになったのは、長尾智子+福田里香著『スチームフード』(2003年 柴田書店)をみてからだ。
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野菜の蒸し方から始まって、黒米と梅干しの蒸しがゆ、かきとディルの白ワイン蒸し、豚肉とこぶみかんの肉だんご、と、洒落た料理から、可愛いらしい花巻や、桃色シロップの白桃蒸し、日本酒プリンなんて魅惑の湯気で作るお菓子が並ぶ。

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スタイリングもお二人が務め、巻頭の蒸菜譜と称されたアートワークを始め、全ての写真が美しく、写真集のように眺めていられる。お二人のそれぞれの本でも、私の一番の愉しみはレシピのポイントや考察、コラムだったりで、この本でもお二人の文章が端々に綴られていて嬉しい。

まぁ花巻屋なんて儲からないだろうし、開店資金もないし、掛けてる眼鏡も曇っちゃうし、寝ぼけたことはおいといて。菜の花だとか春キャベツなんかはまだ高いだろうか。春野菜を買ってきて蒸してみようか。

渋谷スタッフ 中村