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第二十四回 たまごのサンドイッチ

最近、サンドイッチの人気がじわじわと上がりつつある。
もちろん、自分のお店「SONGBIRD COFFEE」の話である。ご存知の方もおられるかも知れないが、SONGBIRD COFFEEには二つしかフードメニューがない。「チキンカレー」と「たまごのサンドイッチ」である。今まで、カレーの陰に隠れていた感のある「たまごのサンドイッチ」をオーダー頂く事が以前より増えている。

要因の一つとして、ここ最近の京都におけるたまごサンドブームの影響も大きいのかもしれない。その流行に少し便乗させてもらっている。
それと比例して、雑誌やテレビなんかでもご紹介頂く事も増え、以前はカレーに偏っていた取材も今はたまごサンドの方が多いくらいである。

あまり意識したことも無かったが、京都(関西?)でたまごサンドというと卵焼きのサンドという事になるらしい。関東はサラダタイプが多いらしいことも最近知った。

で、当店のカレーは以前もこちらのコラムで触れたとおり、見た目にちょっと特徴があって目立つし、食事という点でいうとご飯ものだしということで、どちらか選ぶとなるとどうしてもカレーが選ばれる確率が高かった。

実は、僕はSONGBIRDのカレーも大好きだし、もちろん美味しいと思うのだが、たまごのサンドも同じくらい、いやそれ以上に美味しいのになぁと心の中で密かにずっと思ってきたので、やっと陽の目を見る日が来たなという思いである。

たまごを4個。味付けは塩のみで、パンにはバターとマスタード。軽くトーストして、焼きたての卵焼きを乗せるだけのシンプルなサンドである。
ボリュームだってカレーに負けていないし、付け合わせの人参のラペと焼きブロッコリーも本当に美味しいので、ぜひ残さず食べて欲しい。

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開店当初は、たまごとハムのサンドだったり、たまごとツナのサンドがメニューにあったりと紆余曲折の結果、6年前くらいに今のたまごサンドだけのシンプルな形となった。 ずっと変わっていないのは、たまご焼きとプチメックさんのパンだけである。

先日、雑誌の取材でたまごサンドを始めたきっかけについて聞かれていた妻が、「ずっとプチメックさんのパンを使うことに憧れていた」と答えているのを聞いて、 そういえばそうだったなと、当時の気持ちを思い出した。

当時は、プチメックの西山さんとも全く面識はなかったし、まだお店すら始めていなかった。どんなお店にするかなんて話を、よく今出川のプチメックさん(通称赤メック)の イートインでしていた。「僕たちのような小さなお店でプチメックさんのパンなんて使わせてくれるかなぁ」なんてドキドキしていたのが懐かしい。

お店をそこそこ長くやっていると、いつの間にか目の前の事や膨大な雑務に追われて、それをこなす事に手一杯になって、やりたかった事や、何故それをやろうと思ったのかとか、 大事にしていた事をついつい忘れがちになる。

最近少し慌ただしい日々に疲れ気味だった僕ですが、先日の妻のその一言で「何でも当たり前だと思っちゃいけないな」と改めて初心に帰った10年目の春でした。


著者プロフィール
月刊連載『月刊 唄鳥』毎月5日公開
icon_songbird徳田 正樹
インテリア・プロダクトデザイナー
SONGBIRD DESIGN STORE.」代表

京都生まれ。大学卒業後、内装会社勤務を経て、1999年「IREMONYA DESIGN LABO」の立ち上げに参加。その後、2008年まで同社のデザイナーと代表を務める。2008年退社後、Masaki Tokuda Design.設立。2009年に、京都でカフェを併設したインテリアショップ「SONGBIRD DESIGN STORE.」開業。