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~ハコモノオブジェ~

はじめまして、なかがみと言います。
明治通りのお店で店長を務めています。
原宿や渋谷は、80年代から遊びと買い物で通い続けた土地です。
現在もこの街は実に刺激的で、年齢を重ねてさらに独特の面白さを見出しています。
じゃあこのコラムはファッションネタ?・・・と言うことも考えたのですが、
直球の話題は、商売柄やはり店頭で展開することにしていますので、ちょっと角度を変えた話で綴っていけたらと思っています。

僕はときどき周囲の人から「よくそんなモノ持ってますね(苦笑)」と言われます。
見た人が不思議に思うような極めて変わったアイテムを、色々と自宅の納戸に仕舞い込んでいます。
収集の基準は“デザインを感じること”でして、『このデザインを手元に置いておきたい!』と言う、強い衝動があるかどうかが入手の判断基準です。
この連載ではそんな「モノ」にまつわる話を、稚拙ではありますが少しづつお届けします。
第一回目を執筆させていただくにあたり、改めて納戸を整理しており、始めて早々に面白いものが出て来ました。

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この箱型のオブジェ、中は空っぽのティッシュボックスです。
サイドのロゴをご覧いただければ一目瞭然。はい、コム・デ・ギャルソンのものです。
長い歴史を持つコム・デ・ギャルソンですから、色々な驚きが世に出されて来ました。その中でもこの箱は僕にとってかなりの衝撃をもたらしたモノです。
当然ですがこれは商品ではなく、いわゆる店頭演出の備品です。2005年にセールポップとして使われていました。

店頭にこれが山のように積み上げられた様子は実に壮観で、僕はこのティッシュボックスが積み上がった光景に、アンディ・ウォーホルのブリロ・ボックスの景色を脳内で重ねて見ていました。

大量生産されるプロダクトにそっくりな物体を大量に作り出し、それを積み上げて「アートである」と言い切ったあの作品と同じように、
この「単体でも魅力的な箱」が数多くうず高く積まれた光景に興奮し、なぜかお腹の奥の方がムズムズしたのを憶えています。

プロダクトデザインは、ある程度の決まりごとの中で練られて形になっていくものですが、
決まりごとの外側に余白がある時は、デザイナーやブランドのアイデンティティがそこに強めに出て、
その時の『はみ出したい気持ち』が色濃く感じられることがあります。
アートな存在も、そんな余白がより広い方が、魅力的なモノやコトが生まれますよね。
このハコが生まれた背景にも、お店に来た人へ伝えたい作り手のはみ出す気持ちがあるように思います。

時々納戸から取り出して、組み立てて、積み上げて、そんな余白を感じる。
そしてまたぺったんこに戻して仕舞う。

これはそんなオブジェです。


著者プロフィール

月刊連載『GARAKUTA HAVEN』毎月28日公開
なかがみやすお

1970年生まれ。戌年。
アパレルの販売を生業としています。
若い時は某アーティストのマネージャーやスタイリストとして動き回っていた時代もありましたが、
30代以降はアパレルに腰を据えて『ゲストサービスの正体を見極める』を胸に秘めて仕事をしています。
この5年半は明治通りのショップで統括店長兼バイヤーとして、多忙に翻弄される日々ですけれども、正直毎日とても楽しいです。
洋服が好き。グラフィックデザインが好き。カスタムすることと工夫することが大好きです。人生は工夫だと思っています。
ここでは僕が心の拠り所(HAVEN)とする、 ガラクタっぽいけど良デザインなモノをご紹介していきます。