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「ただいま、フィンランド!」

夫とふたりぼっちで、
カフェとヴィンテージ品の販売を営んでいる。

カフェの仕事って、表に出ない部分での仕事量がとても多い。

ドレッシング、ソフリット、ソース類など、
ベースになるものから全て手作りするし、
製菓も、製パンももちろん自家製だし、
ドリンクのコーディアルなども自家製だし。

でも、どんなに手間と時間がかかっても、
丁寧な仕込みと、ここにしかない優しい味へのこだわりは、
開店当初からずっと変えずに続けている。

「スタッフー!ヘルプミー!」と叫んでみても、
店にいるのは、夫と私のふたりだけ。

そう。

想像以上に、体力もたくさん使うのよ~。

いざ、営業が始まれば、
コーヒーは1杯ずつ挽いて淹れるわけだし、
10人前のパスタの注文が一斉に入ったりもするし、
嘘でしょー?っていうことも起きたりするし、
ふたりでフラフラになることもしばしば。

ヴィンテージ品の販売についても、
納得がいくまでその品の背景を調べ、良いと思うものだけを売る。
自分たちが欲しいと思うものしか仕入れないし売らない。

まったく、ガンコなんだわ~。

カフェ営業の合間を縫って、それらを丁寧にひとつひとつカメラで撮影し、
自宅でオンラインショップにアップする。
ただ売れればいい、という発想がないから、
その品の美しさを最大限に見てもらえるよう工夫をする。

マーケット出店となれば、
その日のコンセプトを決めて品を選び梱包し、
電車で重い荷物を運び、真夏も真冬も朝の6時に家を出る。

そう。

結構、ハードなのよ~。

それらを、自ら好き好んでやっているってわけ。

オープン当初は、すべてをふたりで取り組まないと、
事が進まなかったこれらの作業。
今では、それぞれを分担し、それなりに営業できるようになった。

夫は、基本ずっとカフェの営業を。
私は、ヴィンテージ品のマーケット出店や展示会巡りなどを。
そこを分けて営業する日が増えてから、もう1年以上が経つ。

これって、
私たち夫婦にとっては、と~っても大きな進歩なのだ。

来年で50歳になるいい大人が、
「少し成長できたな」とか、「ちょっと進歩したな」と思えるって、
かなり嬉しいことだったりする。
もちろん、現状維持が一番難しくて一番タイセツなんだけど。

ということで、
わたくし、いま、単身でフィンランドに来ている。
買付けの仕事で。

そして、
夫は、ひとりでカフェの営業を続けている。
東京の荻窪で。

「夫婦ふたりで四輪駆動大作戦」と名付けた、
私たちの取り組みは、ついに海を越えてしまったのよ。
これはもう、究極的な域に入っちゃったね。

5日間のカフェひとり営業。
ただ営業するだけではなくて、
仕入れも仕込みも調理も提供も片付けもひとり。

そして、弾丸5日間の買付け業務。
いつものようにアパートで自炊をしながら、
良いモノを探し求めてひたすら歩く。
どんなに重くても、それを持ってくれる人は隣にいないし、
予算内での交渉や発送も全部ひとり。

買付け品が割れないよう梱包に汗を流し、
ヨロヨロと帰国するころには、
このコラムも公開になっているってことね。

ということで、
わたくし、ただいま、フィンランドにいます!

 


著者プロフィール

月刊連載『旅のち、たびたび北欧へ』毎月16日公開
prof_shiho伊藤 志保(いとう しほ)

カフェ「istut」のオーナー&厨房担当
自らが買付ける北欧ヴィンテージショップ「2nd istut」も営む
古いモノ、ヨーロッパ、蕎麦、ワインが好き
1969年生まれ 長野市出身