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ブリロ・ボックス

世の中に溢れかえる様々な面白い「モノ」の中でも、ちょっとハズシた面白そうなところを細々とご紹介してまいりますが、初回のコム・デ・ギャルソンのボックスオブジェの話で、掲載後に少々反響をいただいたことがあって、それでようやく読んでいただいている自覚を持った次第です。

と言う事で、そのボックスオブジェに強く惹かれるキッカケになったアンディ・ウォーホルのブリロ・ボックス。
1964年に積み上げられた洗剤の箱は、アートの概念に一石を投じた作品です。
やがて高く評価され、価値が与えられ、そこに乗っかった派生アイテムが星の数ほど世の中に溢れます。
ボックスのグラフィックを様々なモノにあしらって、それぞれに新たな表現として重宝されました。
元ネタを知らずにグッズを手元に置いていた人も少なくないと思います。

とりあえずそれが芸術を軽視した行為かはさておき、「Brillo」のロゴが持つインパクトは人々を惹きつけます。
それは現代でもずっと続いていて、作者がこの世を去ったあとも、あのロゴを使って新しいアイテムは誕生しています。
でも、僕が最も惹かれるのはあのボックスそのものでした。
洗剤の箱とそっくり同じく木で作ったボックスそのものです。

でも手に入るわけがない相手です。
万が一現代の市場で取引きされるとしたら、ひとつで数千万円は下らないとも言われます。
なので展覧会や美術館、なんなら写真やWEB上の画像で見るだけで満足もしていました。

ところが派生アイテムが溢れる世界において、その進化が一周回ったような瞬間が来ました。
ミニチュアですが、木製のブリロ・ボックスそのものが発売されたんです。
使用目的は、幼児用の積み木(WOODEN BLOCK)でした。

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これはかなり衝撃でした。
過去に同様のミニチュアが存在したのかどうかはわかりませんが、とにかく僕には衝撃だったんです。
樹脂製でもセトモノでもなく、木製にプリント。
限りなく身の丈にあったブリロ・ボックスが手元にやってきました。

そんなボックスの登場を待っていたのは僕だけではありませんでした。
そうです、この人も待っていました。

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作者であるアンディ・ウォーホルの、しかもブリロ・ボックスを発表した頃、1960年代のスタイルのフィギュアです。
物言わぬフィギュアですが、時空を超えて自分の作品に再会できることに、サングラスの奥で目を潤ませているかも知れません。

と言うことで、その頃にあったであろう構図をミニチュアで再現することにしました。

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ポップ。実にポップです。その時の景色もきっとこんな風に彩りに溢れた眩しい景色だったことでしょう。
しかし先入観に踊らされるようですが、ウォーホルとブリロ・ボックスが映る写真は、なんとなくモノクロの方がしっくり来ます。
構図を軽く修正して、モノクロにしてみましょう。

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画像検索で出てくるあの雰囲気が出て来ました。
洗剤の箱に囲まれて何を思うかアンディ。フィギュアだから思わんのか。
でもなんとなくツヤがある画質が気になるので、ちょっとガサガサさせてみます。

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あ、なんだかグッと来ました。もう僕はこれが完成でいいです。

と言うことで、ミニチュアだから可能な世界。
好きな角度で置いて、好きな積み方をする。
作者のフィギュアと並べて鑑賞。
見ていると様々な感情が出たり消えたりします(←このへんがガラクタヘイブン)
どっちも買ったモノで、僕が作ったモノではないですが、この世界観を思いついて実行したことは誇りです。

まあ人にはあまり理解されませんが、もし見たいと言う方がいらっしゃったらぜひお声掛けくださいね。


著者プロフィール

月刊連載『GARAKUTA HAVEN』毎月28日公開
なかがみやすお

1970年生まれ。戌年。
アパレルの販売を生業としています。
若い時は某アーティストのマネージャーやスタイリストとして動き回っていた時代もありましたが、
30代以降はアパレルに腰を据えて『ゲストサービスの正体を見極める』を胸に秘めて仕事をしています。
この5年半は明治通りのショップで統括店長兼バイヤーとして、多忙に翻弄される日々ですけれども、正直毎日とても楽しいです。
洋服が好き。グラフィックデザインが好き。カスタムすることと工夫することが大好きです。人生は工夫だと思っています。
ここでは僕が心の拠り所(HAVEN)とする、 ガラクタっぽいけど良デザインなモノをご紹介していきます。