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初戀

人より初恋はかけがえのないもの、と思っている節がある。
そんなにこだわるのには、夢・願望があるからだ。
今も番組企画などでサプライズやドッキリなんかでたまにある、大人になってから初恋の人に会うパターンのもの。
昔でいうと「夜のヒットスタジオ」、初恋の相手は?と聞かれた歌手が「小学校の時の◎◎ちゃんかなー」みたいな感じで、
「どんな子?」とか会話しつつ突然、「実は・・・スタジオに来ていただいています」で、カーテンの後ろ!に!ジャーン!
有名人が友達という稀なケースになるがそれが、自分だったらいいなぁ、呼ばれないかなぁとずっと夢見ていたので【初恋】にはかなり執着がある。
一歩譲って?テレビにお呼ばれしなくとも、年をとって同窓会で「実は・・・」的なものでも構わない。
自分の初恋の相手に是が非でも会いたいわけではなくて、自分自身が【初恋】の相手となることに憧れがある。

旧友と久しぶりに集まると、必ずと言っていいほど「初恋」の話になる。
おじさんやおばさんの昔話なんて、そんなもんだ。子どもの頃のしょーもない話を繰り返す。
その一つに「真弓ちゃんのさ、あの人、あの話!」と、いつもいじられることとなる。

自分の初恋については、どれが初恋なのか?よくわからないこともあって、決まって初恋に該当するような時期の中学の事件の話になるのだ。

私はいろんな中学生が集まるような塾に通っていた。
そこに来ていた他校の気になっていた男の子に、バレンタインデーチョコレートを渡すという一大イベントを実行した。
確か受け取ってもらうこともできたけれど、他校ということもあって毎日会えるわけでもなく、塾の帰りに挨拶を交わしたり
少しだけ話をするようになるくらいのスローに距離を縮めるといった具合だった。
学年が変わり春になった頃、突然彼は塾に来なくなった。翌週も翌々週も。
友達と学校近くまで自転車で行ってみたりしたけれど、会えることもなく誰に聞くこともできないまま、夏休み前に私も塾をやめてしまった。
電話したら?と友達にけしかけられて、何度かトライしたけれど怖いお母さんの「今はいません」の声に諦めた。

ここまでは、とても甘酸っぱくて透明感のある【初恋】みたいな思い出。

夏・秋・冬が過ぎ忘れかけていた頃、なんと正月に年賀ハガキが彼から届いた。
とても上品な和紙の年賀状で筆ペンで書かれた文章に、思わず目を疑った。
そこにはこのようなことが書かれていた。

「突然君の前から姿を消してしまってごめんなさい。
おしりの病気で入院していました。もう治ったのでまた会いたいです。
君にその気がまだあれば。」

二つ折りに折って、誰にも見られないようにトランクケースのポケットにそっとしまった。
誰にも言えず、家族以外に会わないモヤモヤとした元旦を過ごすことになった。
友達に初めて会えた日に話して、爆笑され「すぐに会いに行きーや!」と冗談半分にすすめられた。
そんな思いも勇気もなかったのでもちろん連絡していないし年賀状も返していない。

30年以上経った今でもこの話、酒の肴にされている。多分この先、永遠に続く・・・

「おしりの病気って?なんやろな?」

今も元気で幸せに暮らしておられることをお祈りするばかりです(多分お会いしても、わからないと思いますが・・・)

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初体験で菓子店千茜さんがKitさんでされている「くいしんぼうアトリエ」のお菓子教室に参加しました。
苦手意識の垣根を払拭してくれるアイデア満載の楽しくて美味しい教室。

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「Verrine à la Rose バラのヴェリーヌ」バラ科の果実やジャムをたくさん味わいました。
教わったクリームと色々なジャムは、甘酸っぱくてそして優しくて・・・初恋のイメージ。

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お家で作ってみよう!と思ってます。初恋の味。

初戀

 


著者プロフィール

月刊『IN THE POCKET』毎月27日公開
icon_mayumiモリカゲ マユミ

「モリカゲシャツの企画・販売係 面白いこと担当」

MORIKAGE SHIRT http://mrkgs.com

ebebe  http://ebebe.jp