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コルテッツとヴェイパーマックス

ナイキの話です。
ナイキコルテッツは1970年代からずっとナイキを支えているランニングシューズ。
昔からご存知の方も多いと思います。フォレスト・ガンプで知った方も多いと思います。
1972年に発売。2017年に45周年を迎えました。
その時45周年記念のモデルも出ましたがあまり話題にはならず、「記念」「限定」をうたいつつ、普通の価格であったのも”コルテッツらしい”ところでした。
しかしパッケージの限定感はものすごくて、ボックスが通常と全く異なる仕様で、これにはドギモを抜かれました。
これがその箱です。
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「コルテッツと言えばあーたこの色に決まってるじゃない」とでも言いたそうな、白・赤・青のトリコロールの装丁で、引き出しタイプの箱。
この引き出しボックスを採用したところに、ナイキがコルテッツと言う先人に抱く畏敬の姿勢を感じます。
先人の苦労と功績を察っしているからこそ、これが採用出来るのでしょう。非常に豪華と言える作りです。
引き出しを開けると、バースデーカードとシューズ本体を包む薄紙が登場。

これはスペシャルなんだぞ。わかってるだろうな?と念を押されます。
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薄紙も過去のコルテッツの様々な広告を中心に写真資料をプリントしたスペシャル版。

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通常の味気ない無地の薄紙に対してこれまた非常に凝った印象ですね。

ほとんどが80年代の写真でしょうか。ランナーからの支持が価値を生み出した時代だったことを窺わせます。
広告の価値も現代より高く、商品の価値をより高く伝えたいとされていた時代ですね。
これは懐かしさと輝きが詰まったパッケージに思えます。

変わって、2017年にデビューした新作のランニングシューズ、ナイキエアヴェイパーマックス。
ナイキの大きな大きな看板である「AIR」を、直接アウトソールに用いたデザインが大きな衝撃をもたらします。
コルテッツの誕生から45年を経て、ランニングシューズはここまで進化を遂げたと、オールドファンには衝撃が走ったモデルです。
そんな衝撃から半年ほどが経って、エアヴェイパーマックスをベースにした派生モデルが登場しました。
ヴァージル・アブローの「オフホワイト」とナイキによるコラボレーションシリーズの”THE 10″に、エアヴェイパーマックスがラインナップされました。
その箱がこれ。
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通常のナイキのシューボックスにまあまあ似ているのですが、インサイド・アウトと言うのか、でもただの裏返しでもなく。
発想としては、元々のシューボックスを解体して新しい形に再構築したと言うことですね。
ナイキのスウッシュマークがあったところには“SWOOSH”の文字が。

本来の表面のオレンジ色が裏になって、裏だった生成りと言うかダンボール色が表になっています。

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ルーさん的に言うと「デモリッションとリコンストラクションを行った結果、インサイドアウトが箱だけじゃなくロゴにも及んでるんだよね~」です。
サイドを見ればこのコレクションに共通のワードもプリントされていて、本来モデル名が入るところに”SHOEBOX”とあります。
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なるほど、この箱すら重要なプロダクトなのだ。と思わせます。
シューズを包みこむ薄紙は、いくつかのグラフィックをプリントしたやはりスペシャルなもの。
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薄紙には今回のシリーズに入っていないシューズの写真もあります。
これは今後の予告となっているのかいないのか?あらゆる要素がまるで伏線のようです。
と言うことで、これらすべてが“THE 10ナイキエアヴェイパーマックス”を構成する重要なパーツで、これらが揃ってようやくひとつの作品なのだとわかりました。

いずれも想像力と工夫とセンスが詰まったパッケージです。
徹底的に作りこんだナイキのパッケージを並べて、僕はジーンとします。
「靴もいいが、パッケージを見逃さないでくれ。一番力を入れたんだ」と、クリエイターの声が漏れ聞こえてくるようです。

と言うわけで、運動靴に翻弄される人生の片鱗をお見せしました。


著者プロフィール

月刊連載『GARAKUTA HAVEN』毎月28日公開
なかがみやすお

1970年生まれ。戌年。
アパレルの販売を生業としています。
若い時は某アーティストのマネージャーやスタイリストとして動き回っていた時代もありましたが、
30代以降はアパレルに腰を据えて『ゲストサービスの正体を見極める』を胸に秘めて仕事をしています。
この5年半は明治通りのショップで統括店長兼バイヤーとして、多忙に翻弄される日々ですけれども、正直毎日とても楽しいです。
洋服が好き。グラフィックデザインが好き。カスタムすることと工夫することが大好きです。人生は工夫だと思っています。
ここでは僕が心の拠り所(HAVEN)とする、 ガラクタっぽいけど良デザインなモノをご紹介していきます。