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第二十九回 Ronald McDonald

以前、こちらのコラムでも紹介したマクドナルドのハンバーガークッション。しつこく今もコツコツ集めていて、先日も「メルカリ」でこのハンバーガークッションを物色している時に、とあるものに目が留まった。

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「ロナルド(ドナルド)・マクドナルド」のヴィンテージの人形である。

みなさんご存知だとは思うが、ロナルド・マクドナルドとは、ピエロ(正式にはクラウンらしい)の格好をしたマクドナルドのあのちょっと怖いキャラクターである。ちなみに、ドナルドと呼んでいるのは日本だけである。 1963年にアメリカで誕生、アメリカの90%以上の子供が知っているという米国一有名なキャラである。マクドナルドランドに住んでいるという設定で、31か国を話すそうだ。

このヴィンテージのロナルド人形、ハズブロ社が1978年に製造・販売したもので、付属のホイッスルを咥えてお腹を押すと音がなるというギミック付き。顔と手と足はプラスチック製で、全長50cmほどあって、見ようによってはちょっと不気味だけど、ポケットから、ひょっこり顔を出すグリマスが可愛い。ていうか、1978年製ということは、僕とほぼ同い年だ。

で、何故この人形にこんなに食いついているかというと、僕がイームズなんかのミッドセンチュリーの家具やデザインに傾倒し始めた学生の頃、日々漁っていたアメリカの古い雑誌で、イームズに座ってるこのロナルド人形の写真を見て、「これ以上、アメリカっぽい組み合わせはない」と衝撃を受け、強く憧れたのを思い出したからである。

それから数年後、とあるヴィンテージの古着とおもちゃのお店で一度この人形を見掛けたことがあった。当時、箱入りで45,000円くらいしていて、とてもじゃないけど買えないなと諦めた。そして、いつの間にかそんな事も忘れてしまっていた。それが、メルカリで2000円!安い!結構ボロくて、箱もホイッスルも欠品してるけど、間違いなく当時見たアイツだ。その安さに、嬉しさと寂しさを感じながらも速攻購入。僕がいきなり、ピエロの人形を買って、洗ったり、椅子に座らせたり、抱っこしてウロウロし出したので、お店のスタッフや友人たちは、「徳田さん、いよいよ・・」て感じで、かなり困惑&ドン引きしている。

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あの時、僕が見たあの写真はいくら探しても見つける事が出来なかった。当時の写真の記憶を頼りに、同じチェアと構図で写真を撮ってみた。なんとも言えない感情が込み上げる。誰かにとって全く価値がなくて、要らないものが、誰かにとっては、とても大事で価値のあるものということは結構ある。

実は、イームズハウスとマクドナルド1号店のあるロサンゼルスから、マクドナルドの直営1号店のあるシカゴはあの有名なルート66で結ばれている。いつの日か車でアメリカ大陸を横断するのを夢見て、今日もメルカリをチェックしている。


著者プロフィール
月刊連載『月刊 唄鳥』毎月5日公開
icon_songbird徳田 正樹
インテリア・プロダクトデザイナー
SONGBIRD DESIGN STORE.」代表

京都生まれ。大学卒業後、内装会社勤務を経て、1999年「IREMONYA DESIGN LABO」の立ち上げに参加。その後、2008年まで同社のデザイナーと代表を務める。2008年退社後、Masaki Tokuda Design.設立。2009年に、京都でカフェを併設したインテリアショップ「SONGBIRD DESIGN STORE.」開業。