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もしかしてズレてる?

或る日、ギャラリーに芝生を敷いた。

私が主宰する好事家 白月は、keiokairaiの中にあるショップinショップなのだけれど、共同運営のギャラリーが併設されており、お互いが企画を持ち寄りほぼ毎月なにかしらの催しを運営している。

ここのところ連休の週末ごとに襲来する台風にうんざりしていたから、keiokairaiが自家焙煎コーヒーの[コーヒー坊や]を招き、美味しいコーヒーを飲んでリラックスするというギャラリーイベントに大賛成。
晴れの屋外気分を満喫できるようにと投入されたのが、人工芝だ。
靴を脱いでコーヒーを飲むという空想大人ピクニック計画は、敷かれた人工芝に脚を伸ばすと、意外と快適で開放感があるではないか。準備の間、私は即席芝庭をつかの間独占してニヤニヤしながら値札付け。ついには、小さなmy芝生マットをネットでポチッと買うほど気に入っていた。

当日の来店者の大半は「良き普通の大人」だったが、数名の振る舞いに頭の中が「??」。
「喫茶店ではなくここはギャラリーだから、芝生があるからって子供がおもちゃ持参で遊びにくることはないだろう。芝生で昼寝もないよね。コーヒーを飲むためのイベントだから、来店者は各自コーヒーを1杯ずつ飲むだろう。スイーツは食べないとしても」という想定だったが、すべての人がそうとは限らず、私の想像の範囲外な出来事も勃発。

確かに、イベントには年齢制限も注意書きも出さなかったのがまずかったのかも。
だから「書いてないから分からない」というクレームに対処するために、各所でいろいろな注意書きが氾濫するのだろう。
かといって、自分の店が注意書きだらけになるのも違う気がするし。
どうしたものか、名案は浮かばず。
誰か教えて欲しい。

でも、ふと不安になる。
「ちょっと想像したら分かること。そんなん普通ちゃうの?」と私が思っていることは、もしかしたらまあまあズレ始めているのだろうか?
ある時、「クマムシっていいよねー」と一人が言い出し
「わかるわかる、面白いね」と答えた。
「でしょ?」
「宇宙空間でも生きられるし、どんな構造なんやろなあ」
「え?」
「ええ?」
と、会話がズレはじめ、よく聞けば彼女は芸人クマムシについて、私は動物のクマムシについて語っていた。もう最初から名称の認識がズレている。
そういえば、セクハラの境界線の認識についていけないオッサンが叩かれているが、これもまた一つの認識のズレだ。この手のズレを起こし始めたら、人生まずい。クマムシどころじゃない。
少し友人に愚痴ってみたら、「普通の人じゃないけど、一般常識はさほどズレてないと思うよ。大丈夫!」と、何とも微妙な太鼓判をいただいた。
ほんまだろうか。
これまた、誰か教えて欲しい。
ああ、でもズレもシワもすぐには治らないんだろうなあ。

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侮れないのが最近の人工芝の完成度。数種類の芝をミックスしているため、見た目にもなかなかの本物感が漂う。この芝生企画は気に入っているのだけれど…。

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好事家 白月では11月上旬まで引き続きイギリス人陶芸家、ジョノ・スマートのマグカップなどを展示中。実は大きなカップのほうが、ティーマグ。小さい方がコーヒーマグ。さすが、ミルクティーをたっぷり飲むお国柄。


著者プロフィール
月刊連載『或る日。』毎月20日公開
prof_shirotsuki内藤 恭子
ライター・編集などの仕事をしながら、不定期にオープンする<好事家 白月>を主宰。
https://www.instagram.com/shirotsuki_kyoto/