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“居酒屋始発割烹行き ”

初めて料理人の鼓太郎さんに会ったのは2年前、レストランに予約枠をいくつも持つグルメ師匠に誘われたお店で御一緒したのが始まりだった。美味しいもの大好きのきらきらオーラが眩しくて、美味しさを無邪気に喜び、料理人のどこかクールな視点とは違っていたので、まさか作り手とは思わず驚いたのを覚えている。
鼓太郎さんのお店は井の頭線、久我山駅から徒歩3分。居酒屋情緒漂う暖簾をくぐると、L字型のカウンターには常連さんがぎっしり。恰幅の良い人ならお尻がはみ出るくらいのベンチシートなのだけれど、そんな事ちっとも気にならない。なんせ美味しいのだ。

酒肴盛り
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カマスの棒寿司、筋子の粕漬けに、シャインマスカットと柿の白和えは大好物。合間にちょびちょびやる卵黄の漬け、茹で落花生。もはやこの一皿で鼓太郎さん最高と言えてしまう宝箱。どれも焦点が合いすっばらしいの。

毛蟹と金時草の酢の物
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ちょちょい、のこんな感じの酢のものも見た目の20倍美味しい。美味しいもの好きの料理人さんってゲスト側の心理もわかるから、控えめすぎず、ちょっと欲張りな盛りポイントをわかっている気がする。

秋刀魚の揚げモノ、栗の天ぷら
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カリッとした衣、そして秋刀魚の脂としっとり具合、栗のほっこり。季節を感じられる一番美味しい季節がやってきた。そして器楽亭の萌えドコロと言えば、目の前の見目麗しい割烹料理と、周りのワイガヤ居酒屋風情とのギャップだ。加えて鼓太郎さんの話題の豊富さ。この日も早速「そう言えば、、」となり、先日テレビで鼓太郎さんプロデュースの他店にアイドルグループのメンバーが取材で食べに来たらしく、オンエアーされた途端にファンが押し寄せたとか。〇〇君が食べてた物を食べるのかと思えば、座った席を聞いてそこに座ることに意味があるんだそう。〇〇君が座った後にどんな人が、何百人が座ろうともそれは関係ない。〇〇くんの後は私、という時空を飛び越せるファン心理って羨ましいくらい熱いなぁと感心した。

牡丹海老のレミーマルタン VSOP漬け
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今年食べたボタン海老1美味しかったと言える。年の終わり間近の一大事。最初は頭付きのままで、これは写真用と言われ「撮ったらください~」と言うので撮りました報告すると海老の頭を取って返してくれる。ここから頂きますとなる。「中華で酔っぱらい〇〇、とか、紹興酒漬けって旨いじゃないですか、で、レミーだともっと香りがいいかもって思ってやってみたんですよ」と、おっしゃる通り、レミーマルタンVSOPの妖艶香と海老の甘みがむ~んとして、頭のオマケのとろとろのところとか、もうやったね、やられたね、の大盛り上がり。海老を食べ終えたらそこに白米。たまらないチョイ足しのセンス。この一口、ワンアクション、欲しいところなの、美味しいもの好きはね。

スペシャリテ
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日本料理のスペシャリテが一口バーガーという楽しさ。通常はカツバーガーのところ、常連さん(私ではなく予約主)グループには鮪。網で焼くトーストの芳ばしさと、生食の贅沢鮪をフライにしてアボカド合わせ。以前はなかったバーガー袋登場で、スペシャリテとして定番化したモヨウ!

小芋とがんもどきの炊合せ
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お出汁に手を抜かないところも大好き。背筋がのびる。そして自家製ガンモのほろほろ具合は食感の勝利。欲しい食感や味わいに具体性があるのだろうなぁ、であるからこそ手作りせざるを得ない。シンプルなものでも記憶に残る味わいなのは見えない手間隙があってこそ。

卵がけ?ごはん
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お米の艶やかさと炊き込みの優しい下味、プチプチ卵の塩味のバランスが上品。シメまできてみてシミジミ、鼓太郎さんの腕は100%超えの信頼。
私の冬の始まりは美味しい楽しい器楽亭から。

器楽亭
東京都杉並区久我山5-7-9 1F
03-3332-2919


著者プロフィール

月刊連載『153.1 × manger』毎月18日公開
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東京生まれ、東京育ち。
いろんなコトしてきました的東京在住人。
主に食、ほか、アート、映画、ファッション、五感に響いたものを写真と言葉で綴ります。