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「お花見」

東京では桜が満開、見頃をむかえている。東京の桜の名所といえば、上野公園や目黒川沿いなどが有名だが、その上野公園から少し歩いた谷中霊園の桜も穴場ながら見事だ。谷中霊園は山手線日暮里駅すぐ近く台東区谷中にあり、約10万平方メートルの敷地に約7000の墓があり、徳川家15代将軍慶喜や鳩山一郎、横山大観などの著名人も眠っている。その霊園の中央の通りはさくら通りとも呼ばれ両脇に植えられた桜の花がこの時期にはトンネルのごとく覆い尽くしている。昨今は下町ブームもあり、沢山の観光客が歩きながらのお花見をゆったりと楽しんでいる。その谷中霊園でも数年前までは、宴会を楽しむ地元客が数多くいたのだが、管理事務所の方針で一切禁止となった。名目上は墓参りの人々への配慮とされているが、年々増え続ける花見客の出すゴミの処理問題なのだという話も聞いた。なるほど、管理事務所ではその時期に仮設のゴミ置場を作っていたのだが、見頃も終盤になると溢れかえるゴミの山が異臭を放つほどでもあった。
「マナーからルールへ」とは2002年10月に千代田区が全国で初めて施行して話題となった、たばこのポイ捨てや区内全域での路上喫煙を禁じる「千代田区生活環境条例」の標語である。当時区職員が街頭で喫煙者に声をかける様子が話題となり、ポスターでは「厳しいのは条例ではなく、モラルをなくした現実です。」の一文まで添えれ、賛否両論の議論まで展開された。千代田区ではその後、標語について「マナーから、ルールへ。そしてマナーへ」とし、罰則などいらない「マナーへ」の回帰を目指して、息長く取り組んでいくとしている。
マナーが守られずルール化された平成の時代、令和では「マナーへ」の回帰をとなることを期待したい。

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※写真は今年の谷中霊園の桜の様子。このコラムを書き始めた頃にも一度谷中霊園の桜の写真をアップしているが、今年も変わらず見事だった。私の中国製スマホカメラのAIは「紅葉」と判断していた。日本製ならもしかして「桜」も見分けてくれたかもしれない。


著者プロフィール
月刊連載『パイント・オブ・ギネス プリーズ!』毎月8日公開
icon_naga長濱武明(音響空間デザイナー・アイルランド音楽演奏家)

1992年に初めて訪れたアイルランドでアイルランド音楽と特有の打楽器であるバウロンに魅了され、以来十数回の渡愛の中で伝統音楽を学び、建築設計の実務も経験する。現在は音響空間デザイナーとしての業務をこなしながら、国内におけるバウロンプレーヤーの第一人者として国内外で演奏活動をする他、プロデューサーとしてコンサートやワークショップを主催している。
バウロン情報サイト バウロニズム https://www.facebook.com/Bodhranizm