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「最終回」

漫画史上最高の最終回と言えば、高野文子先生の「るきさん」でしょうか。
それともやはりここは杉浦日向子先生の「百日紅」でしょうか。
手塚先生の「火の鳥」はどれが最終回なのだ?と言う話がありますが、あれはやはり掲載順で『太陽編』なのだとか。
手塚作品で言えば、「ネオ・ファウスト」「ルードヴィヒ・B」など未完のものがありますが、初めて読んだ時にあの最後のページに《未完》と書いてあるのを見たときは、完結されない名作があることに驚きました。
僕が思う手塚治虫の完結してる作品で最高の最終回は、やっぱり「ジャングル大帝」かな。
ちばてつや先生の「あしたのジョー」の最終回で真っ白になった矢吹の意味は、先日引退したイチローが『引退はアスリートとしての死だ』と言ったことで、数十年かけて腑に落ちました。
最終回は象徴的であればあるほど、人の心を打ち、記憶に刻まれます。

さて、このコラムも一年間執筆させていただきましたが、今回で最終回を迎えます。
ガラクタヘイブンの最終回は、一体どんなことになるのか?
と自分なりに練っていたつもりでしたが、今月から新しい会社に転職したばかりに、ただアタフタとした時間が過ぎていく日々になってしまいました。
これは僕を知る人なら納得の、僕を象徴する流れと言えます。

突然ですが、僕の年表を見てみましょう。

1970年・・・誕生
1979年・・・転校した先の学校で、初日に同級生に非常ボタンを押すようにそそのかされて断る
1980年・・・担任の先生の実家がタバコ屋なことにショックを受ける
1983年・・・中学校のテニス部で先輩に殴られ、助けてくれない顧問が嫌いになる
1986年・・・パンクロックという存在を知る
1987年・・・イギリス留学。到着してすぐに髪を青くする
1988年・・・ファッションで生きていこうと決める
1989年・・・でも大学に行く

その後、1990年代にロックバンドのマネージャーとスタイリストを担当して、芸能の業界で細々と生きていました。
とにかくいろいろな経験をしたいと思っており、グラフィックデザイナーの肩書きで動いたのもこの頃です。
2000年代に入って、ファッションの販売が生きがいになり、販売を天職と定めて快進撃を続けて来ました。
結果ものすごくたくさんのお客様にご支持を頂くようになったのですが、実は自分の中で生まれた疑問が払拭出来ず、
40代後半だと言うのに転職すると言う荒技に出ました。

うーむ、我ながらアタフタした人生。
最終回がまとまらないのも無理はない。
お近づきになったばかりの人には、実態が見えない男と取られても仕方がないと思っています。
なんでもある程度こなしてしまうのは、経験の豊富さゆえ。
なにか多少の問題が起こっても全く気持ちが動じないのは、もっと恐ろしい目に遭ってきたから。
ということで、「最新のなかがみが最高のなかがみ」と言うパクったフレーズで無理やり理解を求めることを、いま思いつきました。

さておき最終回ですね。
このコラムでは僕が愛する「モノ」を多く紹介してきました。
僕は縁あって自分のところに来た「モノ」に必要以上の愛着を持ってしまうため、ガラクタが溜まってゆく一方です。
でも大量に作られて大量に消費されていくこの時代に、「モノ」を見つめて人生を見返す景色が減っているとするならば、
僕みたいな奇特な人間がいてもいいじゃないかと思ったりもします。
手に入れる喜び、手元に置いておく喜び、ふと取り出して思い出を反芻する喜び。
豊富な経験から言えるのは、人との関わりを大切にしない人ほど、この感覚に理解が出来ないようです。
ここ数年で関わった人で、数人そんな人がいました。思えばかわいそうな人ばっかりでした。
みなさん、自分のところに縁があって来た「モノ」や人を、ぜひ大切にしてあげてください。

さて、この場を提供してくださった西山さんには深く感謝しています。
この場のことだけでなく、僕が抱えている面白いことに共に喜び、悔しいことに共に怒り、悲しんでくれたことに猛烈に感謝しています。
西山さんが感情を露わにしてくれたことは、大きな励みになりました。ゆえに僕の今があります。救われました。
原稿を受け取ってくださったプチメック新井さん、遅い原稿をギリギリまで待っててくださって本当にありがとうございました。
また面白いものが見つかったら番外編で原稿を入れさせてください。

それではみなさまさようなら。

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著者プロフィール

月刊連載『GARAKUTA HAVEN』毎月28日公開
なかがみやすお

1970年生まれ。戌年。「原宿のケンコバ」の異名を持つ。
若い時は某アーティストのマネージャーやスタイリストとして動き回っていた時代もありましたが、
30代以降は販売のお仕事に腰を据えて、ゲストサービスの正体を見極めてきました。
昨年までは国内アパレルブランドのお店で働いていましたが、ドラマみたいなアンビリーバボーな出来事があって、今は外資系ブランドのお店に移っています。
ファッションが好き。グラフィックデザインが好き。カスタムすることと工夫することが大好きです。
「人生は工夫と想像力」が信条です。
ここでは僕が心の拠り所(HAVEN)とする、 ガラクタっぽいけど良デザインなモノをご紹介していきます。