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あなたに会えてよかった

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もう、前しか見ない生き方でいいと思っているのだけれど
昨年の2月、息子が成人になったこともあり自分の「20歳」について振り返ろうか?としたけど、今じゃないかも・・・と思って、やめた。先日また書店でPOPEYEをみて思い出した。

ニュースで「六地蔵」という地名が大きく流れた。
先日、放火された京都アニメーションのスタジオがあったところ。
現実とは思えないくらいの考えられない事件で、人が簡単に何人も死に追いやることが出来る火の恐ろしさ、人の心の恐怖。
怒りが自分ではなく、他者に向かう(それも全然関係ない人)事に、憤りしか感じない。

六地蔵は20歳の最後くらいから私が初めて一人暮らしをした街だ。
ディスプレイ(装飾)のアシスタントとして、仕事をするのに師匠の家の近くに住んだのだ。
通えない距離ではなかったけれど、早く仕事を覚えたいという事や一人暮らしの憧れもあり約3年、六地蔵にいた。
たった3年だけれど、その期間の体験は今の自分を作るのに沢山の影響がある時間で、私にとって「六地蔵」という街は四半世紀が過ぎても、心がチクっとする場所なのだった。

20歳になり社会人という札をぶら下げてはいるが、その自覚のたりない私は、学生時代とは違う注意され涙を流した。
早く一人前になりたいのに、同じ失敗を繰り返したし何より、素直に謝ったり感謝することが出来なかった。
しょうもないプライドの塊で、実態のない自信に満ち溢れ傲慢。
それが若さというものなんだと今なら思えるが本当に生意気で可愛くない人間だった。

20歳の終わりには、大きな失恋をした。仕事中なのに、涙が止まらなかった。
それからずっと仕事ばかりで、ほんと仕事しかしてなくて、けど全然うまくいかず、怒られてばっかりだった。
20歳のときは「失敗」とか「反省」しか覚えがない。
向き合っていたようにも思うけれど、逃げてもいた。
辛い事も沢山あったけれど、辞めたいとかしんどいとか思ったことはなかったし、要領の悪さで実際そんなことを思う暇がなかった。

自分以外の人が怒られている時のことも、忘れられない。
3年前に書いた同期のチカちゃんが怒られてたときのことだ。
長い時間怒られていて、狭い事務所で私と先輩は雑誌や写真の整理をしていた。気もそぞろだった。

そんな時先輩が当時流行っていた「BOY LONDON」の事を
「ボーイ、ドンロンロン」と言い間違えたのだ。笑いをこらえるのに死ぬかと思った。
唇を噛み、息を止め、太ももをつねって笑いをこらえた。忘れられない。

今でこそ言えることだけど、大人になって怒ってくれる大人はいないし、すごい事なんだと思う。
理不尽な事も沢山あるしあったけれど、怒ってくれた方々には感謝しかない。
もし、どこかで会えることがあるならば、ちゃんとありがとうと言える大人になれただろうか。

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20歳から好きなもの、変わらない。「ご飯少なめで」と言えるようになれたらいいのだけど。

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ソウルフード、今井食堂のサバ煮定食。

あなたに会えてよかった

 


著者プロフィール

月刊『IN THE POCKET』毎月27日公開
icon_mayumiモリカゲ マユミ

「モリカゲシャツの企画・販売係 面白いこと担当」

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