ダークなフランスはお好き?

ベルギーの首都ブリュッセル、パキスタンの文化都市ラホールの遊園地、イラクの首都バグダッドのサッカー場ーー。

OMAKEサンドと仕込みとパンカットの日々のなか、世界各地の無差別攻撃のニュースの立て続けにちょっと”めまい”を覚えています。

テロといえば、昨年11月のパリ同時多発テロ事件、同年1月の同じくパリで起こったシャルリ・エブド襲撃事件がいちばん記憶に新しいでしょう。

私の周りでは、欧州最大の移民国家フランスのパリ北部や近郊の市の治安悪化に、そして、眉を思わずひそめてしまうシャルリの過激な風刺表現に驚きの声が上がりました。

それは、光と芸術の都パリと讃えられ、だれもが憧れる国際都市のもうひとつの裏の顔です。

実際、イスラム国への潜入取材で知られるフリージャーナリストの常岡浩介さんは、自著で、今のフランスは5年前とは別の国、移民は人間じゃないぐらいにしか思ってないよ、という、チェチェン人難民のぼやきを紹介しています。

人間は、大なり小なり、ファンタジーを生きていますから、現実と呼ばれるものは時に残酷で無慈悲な事実を突き付けます。

都市は、今のようになる遥か以前から、職と寝ぐらをもとめて雑多なひとたちが集まり、あかるい栄華の面といっしょに暗い汚濁の面を抱えてきました。

それは、ホームレス然り、犯罪者集団然り、ネオナチや極右の政治活動家然り、私も含め、多くのひとが普段意識しない”地下”の世界です。

けれども、そうした社会の裏側や片隅の悲惨さを描いたものや、公にはあまり奨励されないストリートカルチャーからも素晴らしいアートが立ち現れることは、人間と芸術の美しい事実といえるでしょう。

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長鼻の愛らしい戦争用ロボットが、街のスラム、魔法の島、巨大怪魚の胃袋、宇宙を遍歴し、最後に家族という自分の居場所を見つけるお話、 Pinocchio 。

もっとも、本当にハッピーエンドかどうかは読むひとに分かれ、登場人物の多くが悪意と狂気と強欲に満ちているため、ブラックユーモアとわからないとすぐ嫌になるでしょう。

けれども、まァ、人間ってこんなもんだよネ、とため息混じりにクスリと笑い、ひとの業の深さにいつも涙が滲んでしまいます。

作者の Winshluss が描き切る人間のダークサイドは、私自身のある部分であり、となりのアノひとやコノひとの一部分。

ちょっとの偶然の積み重ねと通りすがりの善意と悪意とで右へ左へと翻弄されるピノキオの歩き姿はまるで人生のよう。

もちろん、私たちは自分の意志と努力と忍耐とで少しは良い方向にむかえるけども、結局、ピノキオと何も変わらないんじゃないかーー?

ときどき、救いのないお話や痛々しい作品に人生の真実を感じることがあります。

それは、作者の経験や想像力の疑似体験をもとに産まれた作品が、私自身の過去の苦い記憶と、かなしみや怒り、あるいは深い葛藤とともに学んださまざまな出来事を蘇らせるからでしょう。

美術や詩、哲学の先生たちや研究者仲間に切り捨てられ、京都に流れ着いた私は、自業自独の末路をたどる『ピノキオ』の与太者たちをひとごとには思えないのです。

今回ご紹介するのは、フランスのパリ郊外・サルセル出身のヒップホップダンスユニット、 Les Twins 。

名前のとおり、9人兄弟の末っ子の一卵性双生児で、190cmを越える長身と手足をダイナミックかつコミカルに動かすのが最大の特徴。

今や、マドンナやビヨンセ、 Jay-Z などとの華々しいコラボレーション歴をもつふたりだけども、専門機関でダンス教育を受けることなくストリートから新世代としてのしあがって来たことでも知られます。

そして、私と同い年。負けていられないなあ……。

京都スタッフ 緒方勇人
http://engineerism.com