あなたはロボットに勝てますか?

職場環境のオートメーション(自動化)は、グローバル規模の大企業が提携や買収を通じてゴリゴリと押し進めている一方、アイデアと志をもったIT専門技術者がスタートアップとして新しい形態のお店を創業しはじめたのが今の現状ーー。

前回の結論がこうでした。

しかし、私たちの生活の現場から少し離れると事情はかなり変わります。

ロボットや人工知能との能力競争に負けない方法を探るため、今回はふだん立ち入らない領域で活躍中のロボットを観てみましょう。

先日のアメリカ中西部の都市ダラスで起きた痛ましい銃撃事件は、米国中を、そして、世界の一部のひとたちを震撼させました。

ことの始まりは、今月5日、6日と立て続けに起きた米国内の白人警官による黒人男性の誤殺事件で、7日夜、ダラス市内でその抗議デモの警護中にあった警官うち7名(5名殉職)と市民2名が突如狙撃を受けました。

犯人は駐車場ビルに立てこもり、数時間の交渉と銃撃戦のあと、ダラス市警は爆弾を装着した遠隔操作型のロボットを送り込み、狙撃犯を爆殺。

事件は無事解決の運びとなりました。

ただふたつ、アメリカ社会の人種間不和と、市警察が軍用ロボットで容疑者である自国民を殺害したという初の前例を残して、ですが。

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引用元:​A New Weapon for SWAT Teams: Bomb-Squad Robots (http://www.vice.com/read/a-new-weapon-for-swat-teams-bomb-squad-robots-522)

まず、今回の容疑者殺害で使用されたロボットはノースロップ・グラマン社が爆発物処理を目的に開発したアンドロスです。

おそらくはその耐爆性の高さから攻撃用に使われたのでしょうが、もともとはイラクやアフガニスタンでの爆発物処理の任務にあたっていたと思うとなんとも皮肉な話です。

ちなみに、ダラス市警がなぜ軍用ロボットを保有していたかというと、国防総省、通称ペンタゴンの「1033プログラム」という軍の余剰武器の処分計画でまわってきたもので、2014年時点では、過去8年間で500体近い起爆装置ロボットの余剰在庫が州政府や地方の法務執行機関に移送されたそうです。

もちろん、アメリカの警察の装備が「軍隊化」している事実は今も国内で物議を醸していることはいうまでもありません。

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引用元:RQ-1 Predator MAE UAV (http://www.globalsecurity.org/intell/systems/predator-pics.htm)
引用元:Netherlands to field four MQ-9 Reaper drones by 2017 (http://defense-update.com/20150208_dutch_reapers.html)

さて、ダラス市警が今回異例の投入を決めたのはやはり警官の人命優先が理由です。

同様の理由で、2001年以来、タリバンやアルカイダ、そしてもちろん、イスラム国などの対テロリスト、対ゲリラ戦での攻撃作戦で大きな成果を上げ、同時に、民間人への誤爆の多さで国際的に悪名高い RQ-1 プレデターと後継の MQ-9 リーパーがこちら。

遠隔操作型のドローンによる攻撃は、その後の調査が難しく、地上からの情報源も乏しいため、民間人の誤爆がどれくらいの数に上るのかいまだ不明瞭です。

私個人は、攻撃能力を備えた軍用ドローンは国際条約で禁止すべきという立場です。

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引用元:Northrop Grumman Braces For Possible Cuts To Global Hawk Program (http://www.kpbs.org/news/2012/feb/01/northrop-grumman-braces-possiboe-cuts-global-hawk-/)

軍用ドローンといえば、2011年の東日本大震災の際にも放射能汚染対策として情報収集に投入され、300時間の航行を記録、福島第一原発の4号機原子炉の偵察任務を果たしたグローバル・ホークを忘れてはいけません。

中高度での偵察と爆撃任務を目的としたプレデターなどとは違い、高高度偵察専門のグローバルホークには攻撃能力が備わっておらず、アメリカ航空宇宙局、通称NASAも、ハリケーン観測や温暖化問題などで使用しています。

日本政府もまた、昨年こちらのドローン3機を総額1476億円で購入済み。

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引用元:RadioShack Replaced: America’s Full-Size Robots to Travel With Troops (https://www.defenseindustrydaily.com/mtrs-to-the-rescue-radioshack-replaced-updated-01173/)

最後に、同じく震災の際に原子炉建屋内に真っ先に潜入調査に入った人工知能搭載の軍用遠隔操作型多目的ロボット、パックボットを紹介しましょう。

こちらは、初の実践投入である9.11同時多発テロ事件を皮切りに、イラクやアフガニスタンなどで2000体以上が活躍したベテラン中のベテラン。

開発元は、アメリカの国防高等研究計画局、通称DARPAの資金供与を受けたアイロボット社。

つまり、私たちにお馴染みの愛らしい家庭用自動掃除機ルンバのお兄さんになります。

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引用元:The Company Behind The Roomba Wants To Tap A Xiaomi-Like Formula in China (http://technode.com/2016/03/14/26-year-old-irobot-looks-invest-chinese-robot-companies-interview-irobot-vp/)

いかがでしたでしょうか。

実践投入済みの軍用ロボットの世界では、いまだに遠隔操作型が主流で、自律型のロボットは私の知るかぎりいまだ作戦参加していません。

とはいえ、アイロボット社の開発理念「Dull, Dirty, Dangerous(退屈・不衛生・危険)の3Dから人々を解放する」に顕著なように、軍用ロボットたちは、人間にはキツイ(というか、命を落としうる)仕事を効果的に肩代わりするためにより頑丈に出来ています。

言い方を変えれば、人間はロボットに頑丈さや耐久性という点では敵わないように作られているし、今後もますます高価なロボットはより頑丈に作られていくのです。

客観的に観て、自分の労働者としてのウリが3Dや長時間勤務に耐えられる気力や体力だけだとしたら、会社の方針次第ではすぐにロボットに置き換えられてしまうかもしれません。

産業ロボットがいくら高価で維持費もかかるとはいえ、人間の正社員にもまた、月例給与や賞与、退職金だけでなく、各種社会保険料など、ロボットには不要なコストが相応にかかっているのですから。

今すぐにでも人間ならではのスキルを身に付けはじめましょう。

しかしそれって、なに?

今回ご紹介するのは、イタリアの首都ローマを拠点に活動するマルチドラマーの Dario Rossi 。

世界中の観光都市での大道芸人さながらのドラムプレイで国際的な知名度を高めながら、電子機材を効果的に用いたスタジオセッションで本格的な楽曲発表もおこなう実力派の音楽家です。

これだけの演奏スキルに発想力ももちあわせた人物なら、ロボットに音楽家の職を奪われたりはしませんね!

京都スタッフ 緒方勇人
http://engineerism.com