第十二色 四月 かくして一年間、「色」というものに、漫然とながら注目して過ごしてきた。 このエッセイを連載 …

第十二色 四月 かくして一年間、「色」というものに、漫然とながら注目して過ごしてきた。 このエッセイを連載 …
第十一色 三月 公園のハクモクレンが一気につぼみを開き、枯れ枝の如く放射状に枝を伸ばすだけだったあじさいにも …
第十色 二月 一年前の二月、私の父がこの世を去った。 死因は肺ガンだった。 会社を定年退職してすぐに受け …
第九色 一月 一月は梅の色。 公園の梅の木が、いつの間にか全身つぼみに覆われていた。 枯れたかのようにも …
第八色 十二月 十二月は紫。 近ごろ、ついつい考えこんでしまうのは、小学生の時分、月ごとにイラストが添えら …
第七色 十一月 十一月は二色。 いきなり、雪が降ったのである。 東京で十一月に初雪が観測されるのは、五十 …
第六色 十月 十月は三色。 ふと公園の入口で足を止め、敷地を埋め尽くす緑を見回したとき、「あ、色褪せた」と …
第五色 九月 この一カ月、頭の中はたいていの時間、茶一色に染まり、では何について考えているのかというと、おも …
第四色 八月 八月は黄色。 自転車を漕いでいたら、正面に続く住宅街を貫く道の真ん中を、両手に大きな荷物を提 …
第三色 七月 七月は銀。 白木のカウンターに置かれたその銀の皿は、まるまるとしたかたちをしてデザートをのせ …
第二色 六月 六月は白。 仕事場を出て、通りに抜ける手前の角に、大きなあじさいが咲いている。色は白だ。見事 …
第一色 五月 五月は緑。 その姿はさながら取り立て屋のようで、我も我もと地表に現れた小さな債鬼たちが、それ …