Instagram 後編

宮野さんが経営されているお店の1軒、knot caféさんは、NYからコーヒー豆やチョコレートを輸入されていて、そのコーヒー豆を日本で使用されているのは こちらだけというこだわりようのお店なんだけれど、今や knot caféさんといえば “だし巻きサンド” というほど、だし巻きサンドが有名になった。これに使われている小さなバンズは、僭越ながらうちのものを使用していただいているんだけれど、最初は1週間で30個だった注文が、たった1年ほどで1週間に300~450個にまで増えることになった。knot caféさんが15席しかない小さなお店だということを考えると、この増え方には驚かされる。
なぜ、この短期間でこれほどまでに売れるようになったのかということを考えてみると、やはり真っ先に思いつくのは、多くの方々にインスタで取り上げていただいたということに尽きる。最近では ELLE à tableさんの表紙にしていただいたり、いろんな雑誌で取り上げられるようになられたけれど、そのきっかけもインスタだと考えて間違いないと思う。Instagram、恐るべし。という話なんだけれど、実は多くの方が “インスタに写真をアップしたい” と思われるように仕掛けたのが宮野さんだとも言える。
彼が初めから “インスタでバズらせよう” と狙ったのかまでは不明だけれど、だし巻きサンドをつくられるにあたり、その入口が “デザイン” だったということは間違いない。

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宮野さんは本業がデザイナーで、それもかなり優れたお仕事をされてきた人なんだと思う。ぼくは門外漢なのでデザインのことはわからないけれど、以前 彼がこれまでに手がけて来られたデザインのお仕事を見せてもらったことがあった。その多くのクライアントは、大企業から芸能関係に至るまで誰もが知っているような企業や商品ばかりで、ぼくはただただ驚いていたんだけれど、そんな彼だからこそ食であってもデザインから組み立てられるというのは、必然に思える。
完成した だし巻きサンドを見ても何てことのないものに見えるし、実際に真似ようと思えば誰にでもできるようなシンプルな構成になっている。だけどそこにはデザイナーとしての彼の計算が入っていて、サイズや厚み、見え方、提供方法に至るまで考え抜いてつくられたものになっている。もちろんほとんどのお客さんにはそこまでの認識はないし、その必要もない。それでも多くの方が写真を撮られ、インスタに載せられるという結果になった。
説明を要せず消費者の無意識に働きかけ、結果へと誘導させる技術というのは、iPhoneがそうであるように、これが “デザインの力” なんだとぼくは素人ながら感動した。

デザインをお仕事にされたり勉強をして来られた方でもない限り、説明をされないとその意図や計算されたものであるということまでは、なかなか気づかないけれど、ぼくはそれこそがきっとデザインの力であり凄さなんだと思うようになった。
まるで、先日万城目さんに目前で披露されてもさっぱりタネがわからなかったメンタルマジック(あらかじめ決められた結果へ誘導させられる手品)みたいだ。

 

インスタの話を書いていたのに、デザインの話になっちゃったことは気に留めないでください。

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。