独立した元スタッフとの話。1.

昨年の暮れ、元スタッフの子が電話をくれて話をしていた時のこと。

「西山さん、実は来年、また店を増やそうと思っているんです。」

そう話す彼に、ぼくが真っ先に言ったのは、「人(スタッフ)は大丈夫なの?」だった。
彼は今もお店をしていて見事なほど大繁盛させているんだけれど、このご時世にお店を増やすとなると何よりも一番の課題になるのがスタッフ確保の問題というのは、どのお店も同じだと思う。ところが彼のお店は募集をすると思いのほか優秀な人材が集まるらしい。

「それならできるね!この大変な時代に景気の良い話で羨ましいし、嬉しいよ」と言うと、「いや、そうじゃないんです。西山さん、最近の子って “独立したがらない子” が多くないですか?」ということらしい。

彼の話では、スタッフの募集をすると応募がそれなりにある。それも年齢が30~30代半ばでキャリアもあり、職人としても優秀な子たちが応募をしてくる。それだけに、彼の感覚だと “年齢のことやそれほど仕事ができるということを考えると、そろそろ独立を・・・とか思わないの?” ということになる。ところが応募してくる即戦力の彼らは、まったくというほど独立をする気がないらしい。

「そうだよ、だからぼくは昔から言ってたやん。ぼくらの時代みたいに “この道を選んだ以上、独立を前提に” って子は、今はかなり少ないと思うよ。ある意味、それだけ妙に賢い子たちが多くなったってことなんじゃないの。」

そこで彼は、こう考えたらしい。

“ずっといてくれるとなると、彼らの年齢のことを考えてもいつまでも “修業” と言っているわけにもいかない。店としても、スタッフが結婚をして家庭を持ったとしても、やっていけるだけのお給料をあげれるようにならなければ。それをするためにも、今の店1軒だけではどれだけ繁盛していてもすぐに売上の限界は来るから無理だ。キャリアや年齢に見合うポジションと、それだけの人件費をつくり出すために店を増やさないと。”

「そうだよ、だからそれも、ぼくは昔からずっと言ってたやん。・・・」

「本当に、その通りですね」

「でしょう」

つづく

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。