“小さくて強い店” を考えてみた 6.

前回のつづき
1人、2人で始められたお店が “雇用をしない” という考えで運営されていること自体は、きっと時代の潮流に合っているんだと思う。ところが、そこで “パン屋さん” という事業を選んだ時点で、ぼくは矛盾が生じるんじゃないかと考える。

これも規模やどこまでやるかによっても変わってくるので一概には言えないけれど、いわゆる飲食業界のいろんな業態がある中で、相対的にパン屋さんか豆腐屋さんあたりが一番キツイんじゃないかとぼくは思っているんだけれど、それは体力的なことはもちろん、働いている時間帯や商品になるまでの手間や時間コスト、設備投資の大きさ、単価の低さ・・・いろんな面を比較するとそう思えてくる(やっぱりパン屋さんのような気がするなぁ)。

飲食業というのはどんな業態であっても、その製造を支えているのは基本的に労働集約型の人海戦術によるものなんだけれど、特にパン屋さんはそうなんだと思う。単価が低い分、お店を維持継続させるためには必要な製造量も当然多くなる。だから規模や特殊な設備を持ちでもしない限り、その業態の性質上、必然的にそれだけ多くの “手” が必要ということになる。
未来はどうなるかわからないけれど今の時点では、パン屋さんというのは『スタッフがいて機能をし、初めて “生業として成立するだけの生産性になる” 』というのがぼくの考えなので、そう思うと1人、2人でパン屋さんをやるというのは、”小さくて強い店” どころか、リスクのとても高い、脆弱なお店にしかぼくには映らないことになる。こう書くと、「1人、2人でも、やってやれないことはない」という声も聞こえてきそうだけれど、この「やれる」というのも、恐らく職人視点での “パンを作ること” を指しているんじゃないかと思う。作れるというだけなら経験を積んだ職人さんなら誰でもできる。自分でお店をやって事業主になるということは、そのお店を “維持継続させること” が最優先課題になるわけで、家賃や返済、材料費やいろんな経費を支払い、もちろんちゃんと納税をした上で利益を確保できるだけの売り上げを出し続けないと、お店の維持継続なんてできないんだから。今の厳しい時代に、感情論でお店や事業が維持継続できるのなら、どの経営者も悩んだり苦労なんてしない。
もちろんそれは、パン屋をするのであれば “それだけの製造能力が必要” という意味になる。

つづく

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。