“小さくて強い店” を考えてみた12.

前回のつづき
少し前に ”いろんな業態の中でもパン屋さんあたりが一番キツイんじゃないか” と書いたけれど、これは設備投資の部分にも言える。
例えば料理屋さん、コーヒーショップ、お菓子屋さん、バー、パン屋さんといったお店を可能な限り少額でミニマムにつくろうとした場合、投資額、面積の部分で最初に限界がくるのは、やはりパン屋さんなんじゃないかと思う(恐らくその次がお菓子屋さん)。それほど製パンの設備というのは高額で大きい。
そして、規模がそれなりに大きくでもならない限り、1人でやるお店も2人、3人、4人でやるお店であっても必要な設備は基本的には変わらない。
設備に同等の額を投資して償却をするなら、どう考えても製造能力が足りない1人や2人で無理をして作るよりもスタッフを雇用し、その分の売り上げを伸ばすことを考えた方が効率的だと思う。

もちろん何人雇用すればベターなのかは一概には言えないし、他人を雇用するということは責任も増えれば単純に人件費も増えるし、法定福利費やマネジメントといったそれまでには気にする必要のなかった課題もいろいろと出てくるので、その辺りはトレードオフの関係なんだろうけれど、そういった煩わしいことを差し引いても雇用をした方が絶対に良いとぼくは思っている。
やはり雇用をすることで自分自身、事業主として学ぶことや鍛えられることも確実にあるし、何よりもその瞬間を切り取った効率の部分だけでなく、スタッフがいてくれることで、1人、2人では絶対に作れないような製造量や種類を作ることも可能になるし、何よりもやり方次第ではその先の展開も考えることができるようにだってなるんだから。
それが労働集約型の仕事である以上、どれほど個人に才能や能力があろうと自分の力だけでできることなんて限界があるけれど、他人の力を借りることで実際の人数以上のことを可能にすることだって考えられるようになるのは、もう当たり前田のニールキックとさえ思う。

この話の最初に小さな店の強さ、メリットを思いつくまま書き出そうとしたら、すぐに終わってしまったけれど、今度はそのリスク、デメリットを書き始めると枚挙にいとまがない。
前回、労働環境や労働条件の話を書いたけれど、これほど改善の必要性が切迫した時代にあっても、小さなお店ではそれさえもできることは限定されるんじゃないかと思うし、細かいことまで言い出せば、1人、2人といった同じメンバーでずっと一緒にいると、話題もなくなったり息が詰まりそうになったり、飽きたりしませんか?とまで、ぼくなんかは正直思ってしまう。
冗談でもなんでもなく、1人、2人で回すといったお店で働かれた経験のある方ならわかると思うけれど、お店というのは仕事の性質上、そこでの拘束時間がとても長い。雇用する側はともかく雇われている下の子にとってそれは精神衛生上、思いのほか大きなことだったりもする。こういったことは机上の数字には現れないけれど、意外と小さな店のリスクの一つだったりする。
修業中、意図的にそういったお店ばかりで働いてきたぼくでさえ、かなりキツかったんだから。

つづく

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。