“小さくて強い店” を考えてみた16.

前回のつづき
できる限り雇用もせず、それでも小さなパン屋さんを始めるのであれば・・・これは小さなお店やパン屋さんに限ったことでもないんだけれど、ぼくならまず可能な限り初期投資を抑える。
借入をしてお店をつくる場合、たいてい7年間での返済が目安になると思うんだけれど、言い換えれば “最低でも7年間は作り続け、売れ続け、返済し続けなければいけない” ということでもある。
無事に7年間で返済を終えたとしても、じゃあそれでお店を辞めるのかといえば、恐らくそうはならない。辞めてその後どうするの?ということにもなるだろうし、7年間維持継続できたということは、お客さんも付いてくださっているということだろうから、恐らく「借金も無くなったことだし、じゃあこのまま続けよう」ということになる。
いずれにしても可能な限り初期投資は抑えた方がいい。上手くいけば、7年間もかけずに返済を終わらせることができる可能性もあるし、同じ7年間かけて返済するにしても、借り入れが少なければ毎月の返済額を抑えることができる。特に新規でお店を始める場合、今のような時代だとどれだけ自信があっても始めてみないとどうなるかもわからないんだから、月々の返済額が少しでも低くなった方が安心もできる。

小さなお店、特にパン屋さんをすることをぼくがお勧めしないのには、他の業態に比べどうしても初期投資が大きくなるといったこともあるけれど、それ以上に “長年に渡り、本当に続けていくことが可能なのか?” ということがある。
お店を始める時や始めたばかりの時というのはぼくもそうだったけれど、一つの目標が叶ったことで  “よ~し、あんなものやこんなものも作るぞ ” とか ”よ~し、借金を返すぞ ” と、たいていの人は気持ちが前のめりになっている。
ここで意外と意識から抜け落ちているのが、”自分も歳をとる” といった当たり前のことだったりする。そんなバカな・・・と思われるかもしれないけれど、お店をするような人というのは、始めた時の “前のめりな気持ちでずっといける” と結構本気で思っていたりするんじゃないかと思う。店を始め、狂ったように働いていたぼくなんかは、そんなわけがないと思いながらも頭の片隅では、 “どれだけ働いても、ぼくだけは衰えないんじゃないか、死なないんじゃないか” とさえ結構本気で思っていたくらいだったんだから。
もちろんそんなはずもなく、30歳でお店を始めた人が10年続ければ40歳になり、35歳で始めた人なら45歳になる。当然、歳を重ねていけば体力的にも衰えてくることになるんだけれど、お店というのは不本意なことでも起こらない限り、恐らく10年、それ以上と続いていくことになる。
既にお店をしている人たちが、「(お店を)やるなら30歳くらいで、遅くとも35歳までにはやった方がいい」と話されるのには、こういった理由があるからなんだと思う。

つづく

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。