“小さくて強い店” を考えてみた17.

前回のつづき
どんなお仕事であれ、決して楽なものはないと思うけれど、飲食業は一般的に “キツい仕事” と認識されている業種の一つだと思う。立ち仕事だし、労働時間も長く、パン屋さんは朝も早いとか、何かと重そうだとか。料理屋さんやお菓子屋さんなら単価の高いものを扱われていたり瞬間芸のようなクリエイティブなことをされている分、特に高級業態のお店なら精神的なプレッシャーといった類いのキツさもあるだろうと思うんだけれど、単純に「飲食業でどの業態が体力的に一番キツイか?」と訊かれたなら、やはりパン屋さんのような気がする。

1人、2人でお店をやりたいという方に、ぼくはよく「50歳、60歳になった自分が働いている姿を想像してみて。バリバリ働いている姿が想像できる?」といった話をする。1人、2人でお店をやるということは、そういうことなんだと思っているから。
例えばそれがコーヒーショップや喫茶店だとしたら・・・体力的には大丈夫そうな気がする。
バーなら・・・生活が昼夜逆転したりといった大変さはあるだろうけれど、体力的にはこれも大丈夫そうな気がする。
料理屋さんなら・・・結構大変そうだけれど単価もパン屋さんほど低くないだろうし、そういった方も実際に何人もいらっしゃるので大丈夫そうな気がする。
お菓子屋さんなら・・・これは、正直わからない。
パン屋さんなら・・・数も作らないといけないし、どう考えてもかなりキツいとしか思えない。

これは飽くまでもぼくのイメージなんだけれど、繰り返し書いているように、やはりこれらの業態の中で  “一番、労働集約型のお仕事が恐らくパン屋さんだから” ということが、ぼくにそう思わせる。
だからパン屋という業態を選んだぼくは雇用をする。そして、その雇用したスタッフだって歳を重ねれば体力的にキツくなるんだから、労働環境を整備しようと考える。
ぼくが機械をどんどん導入をしたり、週休三日制という極端に思われるようなことまで本気でやろうとしているのも、パン屋さんという仕事が他の業態よりも体力的にキツいと思っているからだし、そして歳を重ねたスタッフであっても長く仕事を続けてもらえることのできる環境にしたいと考えるためでもある。

スタッフを雇っても雇わなくても共通する大切なことは、お店を維持継続させることだと思うので、雇用をしないという選択をした人は、それでいてお店を長く継続させれる方法を考えた方が良いと思う。

そこでぼくなら、あれもこれも作りたいという気持ちを抑えて種類を絞る。
種類が多い方がお客さんに喜んでもらえるんだろうなぁとは思うし、少ないということはリスクの一つではあるかもしれないけれど、ギリギリの人数でやろうとするなら仕方がない。無理に種類を増やして早々に売り切れを起こしたり、身体を壊したりしたのでは、それこそ本末転倒になりかねないし。
ぼくなら種類を絞る代わりに数を作るようにして、できる限り売り切れを起こさないようにする。
それから、適性の範囲内で可能な限り価格を高く設定する。東京だと「安い。もっと価格を上げればいいのに」と言われることが多いぼくが矛盾するかのようなことを書いているけれど、ぼくがやろうとしていることと、ミニマムにお店をしようとするのとでは方法論が全く違うので、同じような価格設定にならないのは当然だと思う。
ちなみにうちは全く安売りをしているつもりはないし、ぼくができるだけ価格設定を高くならないようにと考えるのには、いくつかの理由があるんだけれど、それを書いていると話が終わらなくなっちゃうのでその話はまた別の機会に。

種類が少ないことも、価格を可能な限り高く設定するということも、お店をしている側からすればかなりドキドキすることだと思うし(ぼくには無理だなぁ)、作っているものによほど自信がないと難しいことなんだとは思うけれど、小さなお店でギリギリの人数でやる以上、ちゃんと利益を出し続け、長い間維持継続をするためには、 ”それでもお客さんに選んでもらえるお店” を目指す以外に難しいんじゃないかなぁと個人的には思っている。

つづく

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。