“小さくて強い店” を考えてみた20.

前回のつづき
そういえば、昨年の暮れに万城目さんとご一緒させていただいたお鮨屋さんは、ご主人がお一人だけでされている本当に小さな小さなカウンター6席のみのお店で、ぼくは ”このお店は強い・・・というか、十分にやっていけるんだろうなぁ” と思った。お鮨という専門業態ということもあるし、完全にお一人だけでされていること、単価も高い部類に入ることを考えると、これならお客さんに支持さえされれば、十分にやっていけるんだと思う。

同じ料理屋さんでも、これがフランス料理屋さんやイタリア料理屋さんとなると、オペレーションやパーツも増えるだろうから厨房の面積が足りないかなぁとも思うし、そういった部分で難しくなるような気はする(これがパン屋さんだと、必要な設備すら恐らく入り切らない)。
それに、場所にもよるけれど、いわゆるフランス料理屋さんや、特にイタリア料理屋さんといった業態は、既に出尽くしている感があることを思うと、独立する前からよほど名の売れたシェフでもない限り、フランス料理屋さん、イタリア料理屋さんといった確立されたジャンルであったとしても、時代に合った新しい業態なり、他所とは違うウリとなるもの( ”美味しい” ということの他に)がないと厳しい時代なんじゃないかとも思う。
特に個人が ”美味しいものを作る自信があるから” ということだけを頼りに新規で参入するというのは、誰もが持っている必要最低限の武器だけを身に付け、レッドオーシャンに飛び込んで行くようなものにしかぼくには映らないんだけれど、もちろんこれは供給過多なんじゃないかと思えるほど多いパン屋さんにも同じことが言える。
そんなことを考えていたら先日、バラエティ番組(マツコ会議)で興味深いデータが紹介されていた。”パン屋さん開業スクール” を取り上げたもので、パン屋さんを開業するのがいかに大変かといった話の中で紹介されたのが、次のもの。

パン、菓子製造業(平成24年~26年 総務省統計局のデータ)

新設数 1.111 廃業数 1.282

”パン屋さんを開業するのがいかに大変か” というよりも “維持継続するのがいかに大変か” といったデータの方が正しい気がするんだけれど。
ただし、これはパン屋さんだけでなくお菓子屋さんも含まれているし、この中には街場のパン屋さんに限らず、廃業が増えていると思われる学校給食などのパンを作っているところも含まれているんだと思う。それでも、この2つの数字から想像できることはいくつかあるけれど、真っ先にぼくが思ったのは、”供給過多、オーバーストア” ということだった。
パン屋さんやお菓子屋さんを始めるというのは、感情論や希望的観測を抜きにした現実を見れば、この中で(新設数 1.111 廃業数 1.282)小さな資本で戦って勝ち残るということなんだと思う。厳しいなぁ。
と書いてはみたけれど、パン屋さん、お菓子屋さん以外の飲食店で調べても似たような結果なんじゃないかなぁと思うし、もう少し範囲を広げて “個人事業” といった括りで調べると、お店に限らず “事業をするということ” の厳しい現実がきっと見えてくると思う。気になる方は、「個人事業 廃業率」「個人事業 存続率」とか「会社生存率」、「会社倒産率」などでググってみてください。
ちなみに、ぼくは以前のブログでも似たような話を書いています。

「新人スタッフと話した時のこと。」

やっぱり今の時代に “美味しいものを作れるから” という武器だけで維持継続していけるとは、ぼくには到底思えないなぁ・・・

つづく

IMG_0286

 

«                    »

西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。