“小さくて強い店” を考えてみた30.

前回のつづき
ぼくにとって “小さくて強い店” というのは、やはりピンと来なかった。そもそも “小さくて強い店” という定義もよくわからなければ、何を持って “強い” というのかもよくわからないといったこともあるし、それが食べもの屋さんである以上、“小さくて強い店” なんてないんじゃないかと、ぼくは正直今でも思っている。

“強い店” かどうかはともかく、小さなお店を維持継続していくためにベターな選択というのはきっとある。
できるだけ初期投資額を抑える、借り入れ額もできるだけ抑える、流動性のない保証金は可能な限り抑えてもらえるように交渉する、商品やメニューの構成、仕事の動線をできるだけシンプルにする、機械や道具の方が早い、きれいな結果に繋がるもの、あるいは手作業と同等以上の結果をもたらすのならできるだけそれらを使う、いただいた対価以上のものをお客様に提供するということを前提に、できるだけ単価を高く設定する、利益率を上げる、生産性を上げる、納税をちゃんとする、人を雇用する、昔は正しかったとされることを無思慮に踏襲したり鵜呑みにしない、自分のやっていることに関わると思われる時代背景や潮流、人口推移なども少しくらいは意識する・・・・他にも考えればたくさんあるだろうけれど、ぼくの思いつくものはたいてい書いてきたと思う。もちろんぼくの書いていることも含め、”これだけやれば大丈夫” とか “これを、この人の言うことを信じていれば大丈夫” なんてものはないし、そもそも一応の理論があったとしてもお店や商売、ビジネスをやっていく上で「これが答えです」「これが正解です」なんてものは恐らくどこにもない。

本人がどれだけ賢くても、どれほど腕が良くても「リスクがあるから・・・」と思ってやらない人、踏み出せない人というのは、この先もお店や事業といったことをされることは恐らくない。何屋さんを始めるにしてもゼロリスクなんてことはまずありえないんだから。
一方で、小さなお店をすることや1人、2人だけでお店をすることを気楽と思っている人には、「本当に気楽かどうかは、やればすぐにわかるよ。」としかぼくは思わないし、言わない。

どこまでも主観でしかないけれど、ぼくがこの話を書いてみようと思ったのは、下の世代の人でお店を始めようとされている方から最近、相談をされる機会が増えたからだった。
ぼく自身、何か思い付いた時には「やってみなはれ、やらなわからしまへんで。」と自分に言い聞かせるし、若い人の始めようとされていることが、例えば「6畳一間を借りて、PC1台あれば始めれます。」といったフットワークの軽いものだったら、「どんどんやればいいやん、すぐに始めればいいやん。」と言うに違いない。ところが若い彼たちのされようとしていることは ”お店” であり、それは6畳一間を借りて、PC1台購入する程度の初期投資では到底できることでもなければ、壁に穴を開け、床をはつり、大きな設備を入れ、内装をつくるという決してフットワークの軽いことでもない。それに、ほとんどの方はそれだけの大きなことを決して小さくない資本、それも借り入れでされるんだから、始めないと何も始まらないとは思うものの、考え得るリスクの認識はあるに越したことはないんじゃないかと考えた。今後ますます厳しい時代になるしね。

「これが答えです」「これが正解です」なんてものは恐らくどこにもないんだから、孫正義さんの口癖じゃないけれど、「脳がちぎれるほど考えろ。ちぎれるほど考えても脳はちぎれない。」というほど自分の頭で考えても損はしないと思う。

“小さくて強い店” について考え始めるとまだまだ話を広げることができそうだし、例として友達お店のことなども書こうと思ったけれど、本当に終わらなくなりそうなのでこの辺りで。

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。