『ケトル』の特集が面白かった 2.

前回のつづき
ブレードランナーには、 “レプリカント” と呼ばれるアンドロイドが登場する。
彼らは人間の都合で、製造から4年間という寿命に設定されていて、これが人間側にとっての “安全装置” となる。もしもレプリカントが人間に対し反乱を起こしたときのための保険のようなもので、この設定(物語上の)は、ロボット三原則やAI脅威論に起因するものなんだと思う。
映画は、そんなレプリカントにも感情が芽生え、「寿命を延ばしたい」と願い、そのための行動をするといったとても切ない物語なんだけれど、現実的なことを想像すると「感情を持つこと」云々を抜きにしても、レプリカントのような完成度のロボット、アンドロイドは現実的じゃないし、恐らく無理でしょう、仮に現実になるとしてもまだまだ先のことでしょう…といったぼくの思いは、今回のケトルを読んだことで確信ともいえるものになった。

IMG_2379
中でも人工知能研究の専門であり、ご自身がプログラマーでもあるという清水亮さんという方のお話はとても面白く興味を覚えた。

『そもそも人間と同じレベルで思考できるAIの開発においてもっとも難しいのは、こうした「生きる欲望」を芽生えさせることなんです。』

『僕らには種を残したいという本能があって、だから欲望がある。でも、AIには種を残したいという本能がないんです。だから・・・』

おぉ、あまり難しいことはわからないけれど、なんだかとても納得のいくお話。
他にも『人間として育てられなければ、機械が人間になることはありません。知能を構成するのは、記憶よりも学習プロセスなんですよ。』など、なるほどと思うお話がたくさん。
そう思うと、映画 『CHAPPiE』は、理に適った設定だったんだなぁと感心したり。

現実世界でも二足歩行のロボットや人間の手に近い動きをするロボットアームなどの技術的な進歩、ソフトバンクがロボットに感情を持たせようとされている研究開発など本当にすごいと思うんだけれど、ぼくなんかはどうしても “ヒューマノイド(人型)である必要があるのかなぁ” と思ってしまう。もちろん、話しかけやすいとか、愛着がわきやすいとか、「そこ(本物の人間に近づける)が目的なんだよ」という開発だったりするんだとは思うけれど、本物の人間に近づけようとすればするほど、研究開発には膨大な時間と資金を要するんだろうなぁと素人考えで思ってしまう。

そう思うと今度は、「人間に近いロボットを作るよりも、人間をロボット化する時代の方が早いんじゃないか」という話が出てくる(ぼくもそう思う)。
実際に、Facebookは ”ダイレクト・ブレーン・インターフェース(頭に思い浮かべるだけで文章が書けるコンピューターの入力技術)” の実用化を目指すとつい先日発表したばかりだし、その少し前には、テスラ(電気自動車の会社)、スペースX(民間宇宙事業会社)を創業したイーロン・マスクさんが「ニューラリンク」という会社を設立したという発表があった。
このニューラリンクでやろうとしていることが ”小型の電極を脳に埋め込んでAIと接続する技術 ” というまるでSFのような話なんだから、いよいよ『攻殻機動隊』の世界、電脳がまったくのSFでもなくなりつつあるんだと思う。

IMG_2381
実用化はまだまだ先になるようだけど、そもそもこの天才、イーロン・マスクさんがスペースXを設立した目的というのが “温暖化、人口増加による危機的な地球から人類を火星に移住させるため” という、まるで子供の妄想を本気でやろうとするようなものだし、テスラにしても “火星移住実現までの間に少しでも地球の環境を守らなければ…じゃあ、二酸化炭素を排出しない電気自動車を作ろう” というのが設立の動機だったりする。

IMG_2380
そして、火星移住の実現はまだだけれど、確実にそれらの実績や結果を残されてきている彼の行動力を思うと、”この人なら本当に電脳も実現させるに違いない” と思わずにはいられない。

しかし、現実世界がどんどん攻殻機動隊の世界の方に寄って来ているように思える。
攻殻機動隊の原作が発表されたのが1989年。恐らく当時、あるいはそれ以前から “電脳” “義体” といった概念は存在していたんだろうとは思うけれど、近い未来に実用化されるであろうテクノロジーを当時から見事に描かれていた士郎正宗さん(『攻殻機動隊』の原作者)は、天才なんだと思う。
そして、こんなことを本当に実現させようとするイーロン・マスクさんも言わずもがな。

やはり、いつの時代でも本当に世の中を変えるのは、ごく一握りの、それも紙一重のような天才たちなんだと改めて思った。

 

今月、amazonでケトルを1冊買った。
自分が読むためとしてである。ケトルの特集は「ブレードランナー」であった。前作のブレードランナーから30年後の世界を描かれているという新作『ブレードランナー 2049』についても書かれていた。新作は10月に公開の予定であろう。10月まで生きていようと思った。

『ケトル』の特集が面白かった 1.
テクノロジーの話 1.
テクノロジーの話 2.

«                    »

西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。