万城目さん。 前編

昨夜、久しぶりに万城目さんと食事をした。
1年間という約束で万城目さんに連載をしていただいていたエッセイが無事に終了し、「打ち上げをしましょう」ということで前回と同じ美味しいお鮨屋さんにて、おじさん2人だけの打ち上げ。
これがとにかく楽しい。毎回、時間が過ぎるのも忘れていろんな話をする。

前回、ぼくらが小学生の頃に読んでいた江戸川乱歩さんの『少年探偵団シリーズ』の話になり、「西山さん、”透明人間” の話は憶えていますか?ぼくは仕事で読み返す機会があって読んだんですが、もう本当にオチが酷い。乱歩さん、それはあかんでっていうくらいで、今読むとびっくりしますよ(笑)」なんて随分と話が盛り上がった。
この時に、万城目さんや湊かなえさんといった今の超売れっ子作家さんたちによる江戸川乱歩さんへのオマージュ、『みんなの少年探偵団』という短編集があることを教えてもらい、ぼくも早速読んでみることに。

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5人の作家さんによるスピンオフ作品なので、それぞれの色があり、それぞれの良さがあるんだけれど、最初に収録されていた万城目さんの作品が個人的には一番 “小学生の頃に読んでいた江戸川乱歩作品の雰囲気を醸し出していた” と感じた。
活字ではあるんだけれど、あの独特なフィルムのような何とも薄暗く、おどろおどろしい感じのする乱歩作品の世界観、 “らしさ” というものを忠実に再現されていたのが万城目さんの作品だと思っていたところ、「あれ、時代背景などまで再現しようとしていたのは、ぼくだけだったんですよ。みんな自由に書かれてた(笑)」というご本人の解説で納得。なんだか万城目さんらしいなぁと思った。

ぼくの知る限り、万城目さんは恐らく性格的にも完璧主義者なんだと思う(他の方がそうでないということではない)。作品を書かれるための取材はもちろんだけれど、「ぼくは他の作家さんに比べ、本当に原稿を書くペースが遅いんです。だから出せて年に1冊。」といつもご本人が仰るのもそういうことなんだと思うし、読書をされていても気になったり引っかかった箇所は、ページを戻る、都度調べるというタイプの方らしい。

万城目さんにお会いしたら、ぼくはこの作品のことで訊きたいと思っていたことがあった(大したことじゃないんだけれど)。

「あの男がピストルを出すシーンがありますよね。あの場合、”ピストル” でなく “拳銃” という表現もあり得たと思うのですが、”ピストル” にされたのは、もしかして読み返された江戸川乱歩さんの『少年探偵団』に出てくる表現が “拳銃” でなく、”ピストル” だったんでしょうか?」

万城目さんの答えは、「あぁ、それは無意識でした。」とのこと。
そんな訳でぼくは今、元ネタである乱歩作品の『少年探偵団シリーズ』に登場するものが “ピストル” なのか、 “拳銃” なのかが気になって仕方がない。読みかけの本がたくさんあるけれど、買って読んでみようかなぁ・・・

つづく

 

『カタコト語る、万華鏡』

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5月の新連載その2 万城目学さん
もし、お伝えしたいことがある。
週刊文春 6月30日
万城目さんの講演会と活版印刷所 

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。