陳列スペースのこと。

前回のつづき
店側の都合でいえば、対面販売はセルフ販売に比べ、販売スタッフが多めに必要といった側面もあるけれど、限られた面積の中で売り場と厨房を分配することを考えれば、基本的には対面販売の方が少しでも厨房の面積を大きく取れるというのは、長所なんだと思う。

対面販売を採用されているパン屋さん、特に個人店のような小さな規模でされている場合、セルフ販売のお店に比べ、陳列スペースが少ないことが多いと思うんだけれど、そこに並べられるものが高価なものでなくパンだということを考えると、これから始めようとされる方の中には、その部分を懸念される方もやはりいらっしゃる。

新宿の店がなくなった今、うちの店でセルフ販売の形なのは、最初の赤い店だけになったんだけれど、ここもパンを陳列する棚の面積としてはそれほど大きくもない。これは、ぼくがどうしてもイートイン席をつくりたいと考え、無理やりつくったためで、以前にもブログで書いたけれど、このプランを話した際には、設計士さん、工務店さん、製パンの機械屋さん、お師匠さんから友人に至るまで多くの方からの猛反対を食らった。

曰く、「イートインなんて、もったいない。それだけのスペースがあれば、どんだけ棚を付けれると思う?」、「この棚の広さでは、売れたとしても売り上げが足りひんのんとちゃうか?」などなど。

“パン屋の店づくり” という点では、どの方もぼくより経験が長く、手がけてこられた軒数も多いプロの方たちなので、そんな人たちからあまりにも言われるものだから、正直ぼくも不安にはなった。
それでも「大丈夫ですから。」と言えたのは、 “棚が少なくても、ちゃんと追加で補充すれば問題ないでしょ。つくれるだけの厨房はあるんだから。” というだけの単純な理由だった。

その頃の東京のパン屋さん事情がどうだったのかは知らないけれど、当時の京都では、街場の個人店でイートインを併設しているパン屋さんはなかったと思うし、「パン屋を始めます。」となれば、「できるだけ棚を付けな、あかんやろ。」といった雰囲気はあったと思う(少なくともぼくの周りはそんな感じだった)。

結局、みんなから心配されていたことが杞憂に終わったことを思うと、対面販売であってもよほど小さな陳列スペースでもない限り、ぼくはそこが特に問題になるようには思えない。それよりも、陳列棚を少しでも多く取ろう、売り場を広くしようとした結果、製造の要である厨房が狭くなり、それが原因で数が作れないのであれば本末転倒だと思うし、そういった意味でも、それなりの厨房面積が必要なパン屋さんに対面販売というのは、向いているような気もする。

そして、多くの方が対面販売を選ばれた理由として挙げられる「衛生面を考慮して」というお話は、次回。

つづく

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レイアウトって、むずかしい。
セルフ販売か? 対面販売か?
なんちゃって・パリ
余談

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。