フランスのパン屋さん。

前回のつづき
ぼくの知る限り、フランスにある “フランスのパン屋さん” は、どこも対面販売のスタイルで、それはヨーロッパの他の国々も同様だろうし、古いフランス映画に登場するパン屋さんもそうなんだから、きっと昔から変わることなく続いていることなんだと思う。

そこで、ふと思ったこと。

対面販売を選ばれた日本のパン屋さんの場合、その理由の多くが「衛生面を・・・」と書いてきたけれど、じゃあ、フランスのパン屋さんの場合はどうなのか、その理由は日本のパン屋さんと同じなのか、といった興味がわいてくる。

フランスのパン屋さんも「衛生面を・・・」といったことはあるだろうけれど、理由としては日本のパン屋さんほどの印象は受けない気がする。
もしフランス人が日本人並みに衛生面を配慮した結果、「だから対面販売なんですよ」なのだとしたら、日本とは湿度などの違いはあるにせよ、ぼくにはあの超 簡易包装が思い浮かんで、どうも腑に落ちない。
そんなことを考えていたタイミングで、前回のブログにコメント(FB)をくださった方がおられる。
一昨年の冬、ぼくが十数年ぶりにフランソワ・シモンさんと京都の店で再会した際に同伴され、通訳もして下さった関口涼子さんがその方。
驚くほど気さくな女性なんだけれど、彼女の本当のすごさというのは、ぼく程度の頭では理解が追いつかないほどの女性だったりする。
そんな彼女に訊ねれば・・・と思ったぼくは、その気さくなお人柄をいいことに、気になっていたことをコメント欄で質問してみた。
それに対する返答が次のもの。

『ちょっと変な話なんですが、フランスの下着屋さんでは、下も試着する?って言われてびっくりすることがあります。清潔の概念って異なりますよね。前にどこかで聞いたんですが、洗濯物が「白く」なることで綺麗になったと思う文化と、洗濯中に水が流れ続けていることで綺麗になると思う文化、洗剤の匂いがすることが清潔の象徴だとする文化などあるそうです。・・・』

やっぱり、フランスのパン屋さんが対面販売なのは、日本のそれとは理由が違う気がするなぁ。
(涼子さん、コメントを無断で転用してすみません)

フランスのパン屋さんに「なぜ、対面販売なの?」と訊ねたところで、彼らにすれば生まれてから今日までそれが「そこにある日常、普通のこと」なんだから、そこに疑問を持たれたり、特にそれを不自由と感じられたこともないのかもしれない。

対面販売を選ぶ理由の一つ、「衛生面を考慮して」というものの占める割合が日本と違い低いのであれば、そもそも対面販売という形が生まれた経緯はどうだったんだろうとも思えてくる。

これはフランス人に対するぼくのイメージなんだけれど、彼らがパン屋さんやスーパーなどへ買い物に行かれる目的には、ものを購入するということ以外に、「店員さんとのとりとめのない世間話」といったものが結構な割合で含まれている気がしている。

対面販売になった経緯というのは、恐らく一番には面積の課題があったからということなんだろうけれど、さらに話し好きのフランス人にとっては、それが結果的に都合の良い形だったんじゃないかとも思える。
「ええやん、ええやん。これなら厨房も広いし、対面販売やからお客さんと世間話もできるやん。」といった会話まで想像してしまうし、衛生面云々でなく、フランスのパン屋さんにおいては、「だから、対面販売なんですよ」と言われた方が、ぼくにはしっくりくるなぁと思ったりする。

ぼくはフランスのパン屋さんで働いたこともなければ、そのことについて聞いたこともないので、これらは全て推論でしかないんだけれど。

そんなうちが再開する日比谷のル・プチメックは、対面販売のスタイルになります。

つづく

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レイアウトって、むずかしい。
セルフ販売か? 対面販売か?
なんちゃって・パリ
余談
陳列スペースのこと。
台湾のパン屋さん

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。