コーヒーのこと。2.

スタバさんやタリーズさんといったチェーン店を除き、今の若い人が ”コーヒー” と聞いて連想するお店といえば、やはり西海岸風の街のコーヒースタンドか、あるいはカフェか。これほどまでお店が増えると、それらに対するカウンターとしての喫茶店というのもありそうな気もする(最近、スナックも流行っているくらいだし)。

ぼくらが中高生だった頃は外で飲むとなれば、ファミレスや缶コーヒーを除けば喫茶店しか選択肢がなかった。 喫茶店といっても京都市内だとイノダコーヒさん、喫茶ソワレさん、フランソワ喫茶室さん、築地さん、静香さんといった ”お店を観るだけでも価値がある” と思う名店がたくさんあるけれど、ぼくの生まれ育った田舎で通っていた喫茶店といえば、タッチに出てくる「南風」のような普通の店だった。南ちゃんのような子がいた記憶はないけれど、お約束のナポリタンやメロンクリームソーダはあったし、何よりもテーブルゲームがあった。

喫茶店なんだからもちろんコーヒーもよく飲んでいたけれど、重要度でいえば、テーブルゲーム、ナポリタン、メロンクリームソーダ、それからコーヒーの順だった気がする。それにこの頃飲んでいたコーヒーが美味しかったのかどうかさえまったく記憶にもなく、ぼくらが喫茶店へ行く目的は飽くまでもゲームとナポリタンだった。

そんなゲームに夢中だった中学生も高校生になる頃には、”コーヒーを飲むこと” を目的に喫茶店へ行くようになった。
今のように、グアテマラやコスタリカといった言葉が当時のメニューに載っていたのかは記憶が定かじゃないけれど、なぜか ”キリマンジャロ” という言葉だけは、ぼくら高校生の間でもよく見聞きした憶えがある。

「普通のコーヒーより、ええやつらしい(普通のコーヒーより、高価なものらしい)」

「こういうコーヒーは、ミルクを入れたらあかんらしい(こういったコーヒーは、ミルクを入れたらいけないらしい)」

「コーヒーやのに、酸っぱいらしい(コーヒーなのに、酸味があるらしい)」

ぼくら田舎の高校生にとって、この浅はかな知識こそがコーヒーについての最先端だった。
そして、”1日でも早く大人になりたい” ”違いのわかる男になりたい” と願っていた当時のぼくらは、キリマンジャロを体験するために、いつもと違う喫茶店へと向かう。
噂通り普通のコーヒーよりも少し高かったと思うし、また噂の作法に従いいつもは必ず入れるミルクも使わなかった。味もまた噂通りに酸味があり、それはぼくの想像以上で、結局半分ほどしか飲むことができなかったぼくの、これが当時の率直な感想だった。

「うわっ、酸っぱ・・・美味しない。こんなん、コーヒーちゃうわ。もう二度と飲まへん。」

つづく

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コーヒーのこと。1.

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。